研究課題/領域番号 |
07041012
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 二郎 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (30027495)
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研究分担者 |
ビーゼリー メガン ニヤエ, ニヤエ・開発基金, 所長
大野 仁美 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (70245273)
中川 裕 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (70227750)
大崎 雅一 姫路工業大学, 自然環境科学研究所, 講師 (40254453)
菅原 和孝 京都大学, 総合人間学部, 教授 (80133685)
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キーワード | カラハリ砂漠 / 植生移行帯 / 民族多様性 / サン / ボツワナ / ナミビア / 人類学 / 環境利用 |
研究概要 |
1.サンの社会関係や価値観の再編を探るため、歴史復元の基礎となる年代記を編纂し、民族集団間の交渉史の復元を行った。 2.子供の言語・身体発達と社会化の過程を、狩猟採集の衰退、平等主義の変容、学校教育の導入など「近代化」の諸問題との関連において明らかにした。 3.グイ語・ガナ語と隣接諸言語との接触史に関する資料を収集し、さらに、広域方言調査を行うことによってグイ語の方言区画を同定した。 4.鳥類約70種のサン方名語彙素を分析し、習性や形状との関係を明らかにした。鳥類に関わる民話、神話の分析より、サンの自然認識の構造を解明した。 5.現時点のセンサス、および、過去30年間の人口データより、サンの人口動態を解明した。 6.サンと農牧民カラハリの儀礼の比較分析から、いくつかの重要な儀礼は両者に共通しており、相互に影響を及ぼしていることが明らかになった。カラハリの儀礼はより呪術的要素が強い。 7.5月から7月にかけて、ボツワナ政府主導による新居住地ニューカデへの移住が突発したため、当初の研究計画に加え、移住過程の追跡と移住に伴う諸問題の解析を行った。 (1)住民約1,000人の移動順序、移動経過と定着過程の観察、および新居住地における継時的な住居地図の作成により、グイ、ガナ、カラハリの3民族集団間の住み分けの構造を明らかにした。 (2)狩猟、採集、民芸品製作など、従来の生業活動は低下し、水道管敷設など新居住地整備のための賃労働の比率が増加、貨幣経済への一層の傾斜が観察された。 (3)新居住地の環境分析、住民による環境評価、土地をはじめとする自然資源の利用、貨幣経済化に伴う交換価・値体系の変容、集住化に伴う民族集団内外の社会関係、行動様式の変化など、将来の重要な研究課題が明らかになった。 8.移住の大事件に力点をおいたため、ナミビア側での補完調査は将来にもちこされた。
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