研究課題/領域番号 |
07041014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 勇 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (80093334)
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研究分担者 |
尹 紹亭 中国雲南省民族博物館, 副研究館員
阿部 健一 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 助手 (80222644)
山本 紀夫 国立民族学博物館, 教授 (90111088)
安藤 和雄 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (20283658)
古川 久雄 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (00026410)
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キーワード | 森林伐採問題 / 少数民族 / アンデス / ファーストネーション / ロッキー山脈 / 雲南 / アラスカ / パタゴニア |
研究概要 |
平成9年度は3年計画の最終年度として、南北アメリカの調査を重点的におこなう一方これまで継続してきた中国の雲南地方の調査にも区切りをつけた。 北アメリカでは、北方針葉樹林帯からプレーリーにいたる生態圏を調査し、先住民であるファーストネーションと、木材会社、カナダ政府との間で森をめぐっての論議が白熱する現場を訪れた。カナダ政府が1970年代頃からファーストネーションの権利を認める方向に政策を転じた。それに呼応して、ファーストネーションが伝統的に次世代へゆずりわたせる形での森林利用を前提とした管理体制を主張し、それが伐採会社の意向と相対立した。地元の漁業や観光業者などが入りみだれ、複雑な権利関係がつづいる。調停役の政府は困難な現実に直面していた。このケースは、南北対立という形式的なとらえ方でなく、同じような問題が北の地域内で存在していることを示している。 南アメリカではアンデス山脈のアルティプラノ地帯の植生変化と、歴史的な植民の関係について調査をおこなった。アジアでは、ネパールではなく、チベット高原が、南米アンデスと匹敵する高地生態系をもっている。この両者の比較研究の重要性が認識された。雲南地域の継続調査をふまえて、これまでの成果の一部を、『東南アジア研究』に特集号として発表することができた。 3年間にわたる調査で三大陸の全域を網羅することはできなかったが、重要な地域を重点的に調査できた。東南アジア以外には、ネパールからチベットにかけての山地帯、北ヨーロッパ、中央アフリカ、北アメリカ高緯度地帯と南米アンデスの高地帯からアマゾンに至る東斜面域等が、地球上での森と人の関係がドラスティックに動きつつある地域として、今後さらに広範な調査を要する地域として考えらる。異生態域を含む比較研究の重要性がうかびあがってきた。
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