研究課題
乾燥サバンナ地域のうち、次にあげる3地域を対象として現地調査を行った。1.地域A(ニジェール):ニアメイ近郊地域を調査対象とし、基礎資料の収集と野外調査を実施した。本地域では地形図や空中写真が必ずしも整備されていないため、カイト・フォトグラフィーによる写真撮影を行った。手法上の改善の余地はあるが、環境生態図や大縮尺の土地利用図作成に有効な画像資料を得ることができた。また、サバンナ植生および農地における土壌水分観測と葉面積指数の計測を実施し、降雨後の土壌水分の変動と植生・農作物の応答の特性を解析した。今後は、ここで得られた解析結果を衛星データを用いた広域的解析に応用し、乾燥サバンナ地域全体における降水-土壌水分変動-植生・農作物の応答の相互関係を検討していく。2.地域B(カメルーン):カメルーン北部のカプシキにおける野外調査を実施した。本地域では、アグロフォーレストリーの中でも特にAcacia albidaをめぐる農業システムの重要さが再確認された。今後この樹を中心に、土地利用システムとそれを支える民族知識、さらにその背景となる自然観まで視野に入れて、気候激変に対する人間対応の研究を行う見通しを得た。3.地域C(ケニア):ニャンベニ丘陵における現地調査と、空中写真や地形図、気象データ等の基礎資料の収集を行った。ニャンベニ丘陵周辺では、地形性降雨および火山地域特有の微地形が様々なタイプの植生と土壌の分布を規定し、それらの自然条件がそこに住む人々の土地に対する働きかけ方と密接に関連している様子が観察された。今後は、降水変動や人口増加等の社会変動と土地自然との相互関係に焦点を当てて調査を続けていく。
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