研究課題
本年度、昨年以上に研究の進展があったと思う。以下、地域別に研究の実績を述べる。まず、ケニアでは、堀がビクトリア湖東岸の景観変化を中心に調査を行った。また、今年度から現地調査をはじめた鹿野は、北部のマララル周辺の牧畜民の社会変化を気候変化との関係でとらえる基礎調査を行った。カメルーンでは、堀が北部のマルアからマンダラ山地のカプシキ地域を中心に、乾燥サバンナ地域の土地利用システムと作物の選択戦略を環境変化と関係づけて調査を行った。この結果、干魃とともに、バッタによる食害が深刻な飢餓を発生させること、そしてそれに対する農民の対応が作物構成の内容と関係する貴重な情報を得た。ニジェールでは、堀がニアメイ郊外の二ジュール川河岸地域のAcacia albidaの木をめぐる樹木農業の土地利用システムと作物の選択、川との関わりを、気候の激変や環境の変化との関係で調査を行った。当時でもバッタの食害が大きな問題で、作物選択の重要な鍵を握っていることが確認できた。知念は、ニジェール川河岸地域の土壌浸食を土地利用や環境変化と結び付ける調査を行った。篠田と岩下は、気候の激変を大気と地表との相互関係を把握する研究を行っている。篠田は、地上気象と地温の日データを求めて、ニジェールのほかにブルキナ・ファソとガーナも訪問した。現地観測資料のない土壌水分いついては、独自に観測を続けている。観測資料から、土壌水分の空間分布、降雨と植生の季節変化との相互関係の検討をした。その結果、土壌水分は雨量の増減に良く対応し雨季終了後一ヶ月以内に乾燥し、その後も乾燥し続けることがわかった。なお現地の研究分担者は、上述の堀の調査にそれぞれ合わせて調査を行った。以上、これといった問題もなく予定の計画を遂行できた。次年度は最終年度なので、まとめに向かって一層の努力を続けたい。
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