研究課題/領域番号 |
07041020
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研究機関 | 広島女子大学 |
研究代表者 |
今永 清二 広島女子大学, 学長 (60033502)
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研究分担者 |
ウンガムニサイ ノム シーナカリンウイロート大学, 社会科学部, 助教授
ウオルカウイン カウイ シーナカリンウイロート大学, 社会科学部, 助教授
コンチャナ ブラップルン シーナカリンウイロート大学, 社会科学部, 助教授
ファルーク オマール 広島市立大学, 国際学部, 教授 (30275391)
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キーワード | イスラム共同体 / パキスタン人 / インド人 / スンナ派 / ス-フィズム / カ-ディリ-教団 / チャム人 / クメール・イスラム |
研究概要 |
本調査においては東北タイで7カ所、ラオスで2カ所、カンボジアで30カ所のイスラム共同体の現地調査を実施した。具体的にはモスク及び、モスクを核に形成されているムスリム居住区のジェネラル・サーベイを行い、東南アジア大陸部におけるイスラム社会の実態把握に努め、スンナ派クメール・イスラムなどの考察を行った。 特に、現在のヴェトナム中・南部にあったチャンパ王国のチャム人が、14、5世紀以後カンボジア、タイなどに難民として流入し、例えばタイ中部のアユタヤやバンコク、東部タイのトラ-ドなどのチャム系ムスリム共同体が形成されたこと、そして何よりもカンボジアのイスラム社会がチャム人により構成されていったことを明らかにすることができた。また東北タイのイスラム共同体については、その主流がパキスタン系であること、ラオスではインド系が中心であることも判明した。後者のイスラム共同体はイスラム神秘主義ス-フィズム、なかんずくイスラム世界で最初に成立したカ-ディリ-教団の儀礼が現在に継承されてきていることを確認した。したがって東南アジアへのカ-ディリ-派イスラム神秘主義の伝播は、中東からインドを経て東南アジア大陸部にも伝わったものと推定され、インド経由のイスラム化を裏付けるものといえよう。 このように各地域のイスラム共同体の現地調査を実施することにより、それぞれの地域に根差したイスラム文化やムスリムの生活文化の諸相と多様性を解明することができたが同時にモスクやコーラン塾で日常行われるコーラン学習、イスラムの宗教的戒律逓遵守などにより、イスラムの統一性が保持されていることも明らかになったのである。
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