研究課題/領域番号 |
07041031
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研究機関 | 千葉敬愛短期大学 |
研究代表者 |
高田 洋子 千葉敬愛短期大学, 国際教養科, 助教授 (50154795)
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研究分担者 |
田中 耕司 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (10026619)
グエン フー チエム ベトナム国家カントー大学, 農学部, 講師
河野 泰之 京都大学, 東南アジア研究センター, 助手 (80183804)
中村 圭三 千葉敬愛短期大学, 国際教養科, 教授 (60118180)
桜井 由躬雄 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (80115849)
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キーワード | メコン・デルタ / 農業開拓 / 農村調査 / クメール人 / キン(ベトナム)人 / 氾濫原 / 大運河 / フランス植民地 |
研究概要 |
本研究の主眼は、メコンデルタ農村社会についての基礎的データを収集し、今後のメコン開発の基盤となる農村社会の地域的特性を把握することにある。この目的のために、各地の自然的条件(地形・水文・気候・土壌などの環境諸要素)と歴史・民族・生産技術の発展過程における相互関係性を研究し、これらを農業開発史の観点から総合化する。 第2年次の本年は、計画どおり地形区分による3タイプの村落調査を実施し、次の知見を得た。1.先住民クメールと新参のキン(ベトナム人)の共存する砂丘上村落(チャヴィン省ホアトゥアン村)調査では、自然環境に適応したクメール人の伝統的農法の存続、およびクメール世界の周辺部からのキン人の進出が現在なお緩慢に進行中であることがわかった。また老人とのインタビュー調査によって、仏領期後半以降の農村社会の対立・変化の諸要素、農業技術の伝播過程などの資料を得た。 2.キン人による古い開発地ロシアン省カインハウ村の調査では、戦後の稲3期農法の達成、脱農現象、新開地へのプッシュ要因を分析した。ホ-チミン市およびフランス公文書館でのホアトゥアン・カインハウ両村の関係資料調査では、植民地政府のデルタ内少数民族政策、戦後の独立政府による土地改革過程での当該村落対象者文書など貴重な資料を発見した。3.ドンタップ・キェンヤン等氾濫原地帯の開拓は、仏領期以降ほぼ同様の入植政策が繰り返されて現在に至っていた。仏領期払下げ制度下で初めて土地を得た農民に関する公文書の発見の他、戦後の開発過程における挫折の繰り返しが現地調査と文献資料のつき合わせから明らかにできた。さらに次年度には、上記諸村落の乾季フォロイング調査、並びに20世紀初頭の開発最前線カント-省の大運河周辺における旧仏人農園の実態および文献調査を追加して行いたい。そのことによって約100年間のメコンデルタ農業開拓の総合的把握と開発政策の評価を行うことが可能になるだろう。
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