研究課題/領域番号 |
07041036
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
安田 喜憲 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50093828)
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研究分担者 |
北川 浩之 国際日本文化研究センター, 研究部, 助手 (00234245)
高橋 学 立命館大学, 理工学部, 教授 (80236322)
佐藤 洋一郎 静岡大学, 農学部, 助教授 (20145113)
外山 秀一 皇学館大学, 文学部, 助教授 (50247756)
徐 朝龍 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (80235811)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 稲作の起源 / 長江中流域 / ヤンガー・ドリアス / 長江文明 / 都市集落型 / 龍馬古城遺跡 / 三星堆遺跡 / 気候変動 |
研究概要 |
稲作の起源について本国際学術研究においては、これまでにない新たな知見がえられた。これまで稲作の起源地と時代は、約5000年前の雲南地方であるとみなされていた。しかし、本学術調査の結果、稲作の起源地は長江中流域の湖南省を中心とする地域にあり、時代も12000年以上前にまでさかのぼることが明らかとなった。しかも、その稲は熱帯ジャポニカであり、水陸未分化の稲であったことが明らかとなった。さらに、湖南省は亜熱帯気候でありながら冬期には雪が降る寒冷な気候に見舞われる地域に相当しており、晩氷期のヤンガー・ドリアス期の寒冷期が食糧危機をもたらして人類に甚大な影響を与え、これが湖南省で稲を栽培化にむかわせる大きな要因であったことが明らかとなった。さらに稲作は7000年前、5000年前、3000年前に拡大・発展期をむかえるが、それらはいずれも寒冷期に相当しており、気候悪化にともなう食糧危機が、稲作の拡大と伝播を引き起こす大きな要因であったことも明らかとなった。さらに5000年前に入って長江下流域では良渚遺跡群を中心として、中流域では石河家遺跡や城頭山遺跡などを中心として、上流域では龍馬古城遺跡や三星堆遺跡を中心として都市型の城郭集落が出現した。本学術調査では龍馬古城遺跡を中日共同で発掘調査し、長片1100m、短片600mの城壁と都市型集落が紀元前2500年前にカシやシイの照葉樹林を破壊して構築されたものであることが明らかとなった。さらに城壁の内部は都市型の家屋が存在し、水田は存在しなかったこと、何本もの河道が城内に水路として引き込まれていたことが明らかとなった。こうした都市型の集落は、紀元前1000年前頃急速に衰退した。その背景にはモンスーンの変動を含む気候変動が深くかかわっていたことが、本学術調査によるチベット高原の堆積物の花粉分析の結果から明らかとなった。
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