研究課題
本年度は3年計画の初年度であるので、基礎的な文献、資料の収集に努めると同時に、それらの整理、検討をすすめた。また、共同研究者のあいだで研究計画の具体化について協議するとともに、問題意識の共有化をはかった。これらの作業を基礎として、10月に約10日間の現地調査を実施した。今回の現地調査はふたつのテーマをもっておこなった。第1は、中央の政策について、政策担当者および中国側研究者の見解、意見についてヒアリング調査をおこなうことであり、第2は、地方国有企業改革の現状について実態調査をおこなうことである。後者については、中国社会科学院経済研究所の援助をえて、中国側研究分担者とともに四川省成都市およびその近郊でおこなった。12月には、現地調査に同行した中国側研究分担者を招いて、調査内容についての分析、意見交換をおこなうと同時に、今後の研究課題、研究および調査の方法について話し合った。現地調査から判明したおもな問題点としては、国有企業の株式化が予想以上に普及していること、にもかかわらず制度的にみた場合、会社法に合わせた企業組織の転換が遅れていること、の2点があげられる。また、関連する法律が中央レベルで統一されていないため、新しい問題の多くが地方レベルの実験的な立法に頼っている状況なので、地方的な格差も大きいことが想定される。これらの調査結果については来年度中にとりまとめ、関係する学術誌において公表する予定である。
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