研究課題
平成7年度における内陸部での現地調査に引き続き、平成8年度は、沿海部(上海、寧波)を中心に調査を実施した。5月27日〜6月5日に、田中、國谷が上海、北京を調査し、7月19日〜8月1日に、田嶋が経済研究所のグループとともに寧波を中心に調査した。前者は個別企業の実態調査のみならず、企業法関係の整備、とりわけ会社法の実施状況についても調査した。また、上海では中国に2つある証券取引所の一つ、上海証券取引所を訪問し、北京では証券管理委員会を訪問して、株式市場の実態と株式制度の規範化についても調査した。後者は寧波近辺の地方固有企業について、製造業を中心に、さまざまな分野のタイプの異なる企業を抽出して、地方財政との関係を中心に、企業改革の進展状況をサンプル調査した。また、経済研究所のスタッフと、企業改革の現状と問題点について討論し、意見の交換をおこなった。これらの調査から、ひとくちに固有企業改革といっても、地域、業種、企業規模によって、かなり改革の方法やその重点が異なることが判明した。また、12月23日〜1月12日に、李黎明氏を招聘して、税法の改正問題、および中小の国有企業を対象とする新たな株式会社法の制定問題等について報告を受け、先の調査結果の検討と併せて、数回の研究会をもった。これらの検討から、当面は株式制度を軸とする企業改革と、税制改革とが重要な改革の柱となるとの認識を得た。そこで最終年度となる平成9年度については、この二つの問題を中心に、補充的な調査を実施し、3年間の取りまとめを行う計画である。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)