研究課題
3年間にわたる研究機関の最終年度として、補充的な調査を実施するとともに、研究成果のとりまとめについて研究分担者のあいだで意見を交換し、一定の結論を導くようにつとめた。地方国有企業改革の実態調査については、河北省遵化県、および温州市で実施した。今年度においては、たんに国有企業内部の問題にとどめず、地域労働市場の形成についても補足的な調査をおこなった。また地方国有企業については、株式化の実態を、企業の規模に応じて類型化するための基礎的な調査をおこなった。法律面からは、会社法の施行実態調査を重点におこなった。この調査は、各担当行政機関に対するヒアリングとしておこなわれた。すでに過去の調査において、会社法の実施については多くの問題が存在することが明らかにされてきたが、今回はその原因を明らかにするために、中央官庁を中心に中国側の問題意識について調査した。以上の調査結果については、順次論文にまとめて公表する予定であるが、現時点では国有企業の改革がひとつの曲がり角にさしかかっていることが明らかになった。アジア経済の低迷、失業者の増大、既得権者の抵抗などさまざまな外部的要因もあるが、企業改革によって真に自立した企業への転換が不可避が否かが、政策立案の根本問題として浮上してきているためである。この問題は、たんに経済体制改革にとどまらず、政治改革にも直結する問題であるため、容易に結論が出る状況にはない。なお、共同研究の成果のうち法律部分については、北京大学より中国語で出版される計画であるが、内容の詳細についてはまだ決定していない。
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