研究課題/領域番号 |
07041057
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 耕司 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (10026619)
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研究分担者 |
五十嵐 忠孝 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (30107510)
加藤 剛 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (60127066)
立本 成文 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (50027588)
坪内 良博 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (00027583)
早瀬 晋三 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (20183915)
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キーワード | 海域世界 / ウォーラセア / ネットワーク型社会 / 交易圏 / 東南アジア島嶼部 / 地域研究 / セレベス海 / マカッサル海峡 |
研究概要 |
島嶼部東南アジアのウォーレス線から東に位置するウォーラセア海域では、海を生態的基盤とする人々の生活、文化、社会が形成されてきた。平成7、8年度に続き、今年度もこの海域において人々の移動・移住、および物産交易のネットワークについて共同調査を実施した。平成9年7月から平成10年3月にわたり日本人研究者延べ10名、(研究協力者1名を含む)を派遣し、加えて日本人研究分担者1名および外国人研究分担者5名が現地参加した。 今年度は調査地域を「セレベス海三角地帯」と「マカッサル海峡三角地帯」を主な共同調査地とし、関連する個別調査も加えてネットワーク型社会の文化・社会変容の実態把握につとめた。「セレベス海三角地帯」ではフィリピンのミンダナオ島とインドネシアのスラウェシ島の間に位置するサンギ-ル諸島を中心にサンギ-ル人の移住・定着に関する口承資料を収集して両島にわたる広域移動史を明らかする手がかりを得た。また、北スラウェシ・中スラウェシ州東海岸部のバジャウ人の移動・生業に関する調査によって、ウォーラセア海域に広く分布するバジャウ人の2つの大きなグループの存在を確認でき、バジャウ人の移動・拡散に関する新たな知見を加えることができた。「マカッサル海峡三角地帯」では、東カリマンタン州の沿岸部を中心にブギス人およびバジャウ人の生業・交易・移住に関する調査を実施し、華人・ブギス人・バジャウ人を連らねる海域物産の流通ネットワークを域内交易と域外交易の重層性としてとらえることができた。とくに、そのネットワークにおけるブギス人の果たす役割について、具体事例をともなう新たな知見を加えることができた。マラッカ海峡地域および西カリマンタン州西部のようなマレーシア・インドネシア国境隣接地域において行われた個別調査でも国境を経由する人々の移動・交易の実態について一次資料を収集することができた。
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