研究課題/領域番号 |
07041066
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
澤田 進一 大阪府立大学, 農学部, 教授 (50081526)
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研究分担者 |
兪 菊生 日本学術振興会外国人特別研究員[上海市農業科学院], 助理研究員
藤田 武弘 大阪府立大学, 農学部, 助手 (70244663)
大西 敏夫 大阪府立大学, 農学部, 講師 (90233212)
小林 宏至 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (70081560)
YU Jusheng Shanghai Academy of Agricultural Sciences (ASP) [JSPS Postdoctoral Fellowship fo
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 青果物流通 / 上海市 / 大都市 / 卸売市場 / 産地再編 / 小売再編 / 計画経済 / 市場経済 |
研究概要 |
平成8年度の研究進展状況: I.上海市における青果物生産・流通システムの総合的把握をめざし、以下の研究調査をおこない、多くの新知見を得た。 1.卸売市場再編の現状と新知見:上海市の批発市場(卸売市場)の類型的把握をめざし、今年度は、上海市北市副食品交易市場(北市場)、曹安市場、上海市江橋批発市場の3市場を補足調査した。新知見:上海市ではすでに各種流通・市場は開放されている。北市場等国有の広域流通市場は、(1)集荷方式の多様性、(3)相対取引と市場需給の価格決定、(4)市場へ委託代理販売の出現、(5)決済機能の迅速・正確・明瞭等のための電算化などが特徴である。民営の曹安市場は、弾力的・安価な手数料等、集分荷中心的運営を特徴とする。また、既設市場は、搬入・搬出が水運・鉄道・トラックと人力との混合段階に対応し、輸送手段高度化とともに急速な変貌が予想される。国家級中央卸売市場は現在十分に機能していないが、輸送手段の高度化による今後の展開が注目される。 2.上海市卸売市場の展開と再編の現状と新知見:上海市の小売市場には、(1)国有・集団・民営の大小各種「菜市場」・「販売点」(市内計599ヶ所)、(2)集市貿易市場(自由市場、市内392ヶ所)があり、この他に卸売市場の青果物は(3)域外の商人を通じて域外小売市場にも分荷されるが。かつての「菜市場」は、現在国有・集団有の各種小売り商業機構に分化しているが、そのなかで総合食品スーパーへと経営を転換した陜北菜市場と八仙副食品商場を調査した(うち八仙は補足)。従来これら2菜市場の生鮮食料品は、(1)肉類、(2)家禽・卵、(3)野菜、(4)豆製品、(5)水産物の「5大類」副食品で薬200品目であったが、八仙副食品商場では、1996年9月現在5,000品目に増加している。「5大類」副食品に加えて、加工食品および日用雑貨の増加ののびが著しい。仕入先は上海市域内、同域外、国外の3つの卸売市場、専門公司、加工場、輸入会社および産地などである。販売先のおよそ8割は一般市民とレストラン等の大口需要者であり、のこる2割は集市貿易市場の個人販売商人である(陜北菜市場)。小売流通市場は、経済発展による消費水準の上昇と、農業における自由な商品生産の展開を背景として近代的な生鮮食料品流通体系の構築が進みつつある。 3.産地再編の実態に関する調査 浦東巨大開発にともない上海市周辺部では広範な農地潰廃が進行している。近郊地帯の上海市閔行区馬橋鎮「馬橋園芸場」での「菜藍子」工程のもとでの施設型産地の実態調査(補足)と、上海市の都市型農業のモデルとされる浦東新区の「孫橋現代農業開発区」で実態調査をおこなった。上海市の都市農業とは、(1)現代的工業技術で装備されている農業、(2)現代的な管理と経営がおこなわれている農業、(3)市場メカニズムに沿った農業であり、日本の現状とてらして多くの共通項とともに、少なからぬ相違点の存在が明らかとなった。 II.「上海市-大阪府都市農業発展検討会」(国際シンポジウム)の開催と研究報告および討論に参加した。 「研究成果の還元」を基本目標に、昨年約束した「上海市-大阪府都市農業発展検討会」(9月3日・4日)を開催し、研究報告と討論に参加した。この検討会は2日間で計17の研究報告があり、澤田進一が第2日目の座長を努めた。このなかで、(1)兪菊生がこの間の研究成果を踏まえた総合的報告をおこなったのをはじめ、(2)小林宏至,(3)大西敏夫,(4)藤田武弘が各報告を行い、大都市をめぐる生鮮食料品の生産と流通・消費の現状と、大都市域に位置する農業の生産機能と環境保全・創造機能・役割などが報告・討論された。
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