研究課題
平成8年度は主として米国における日系企業に対して訪問調査を行った。但し、前年度行った東アジア地域の調査において予算及び調査予定企業の都合で出来なかった韓国及び中国東北地区に日系企業の訪問調査も行った。米国調査に当っては、なるべく多くの日系事業拠点を訪問する為、米国中西部、米国東開眼及びカナダ、米国西部海岸地域の三地域に三つのグループで別かれて訪問調査を行った。このため、相手企業の都合もあり、調査日程はグループにより若干異なっている。結局合計34の日系企業の訪問調査を行うことができた。何といっても米国の強力な多国籍企業が活躍している本国市場であり、日系企業がどのように、その競争優位を現地において築きつつあるかが注目された。乗用車生産拠点をとってみると、東アジアのそれとは異なり、最新鋭の技術・設備を導入し、た相当な生産規模を実現していることを改めて確認した。また労務・人事管理、組織管理、生産管理、等の点でも日本型システムの導入・定着の方向と現地条件との適応の方向とが、正にクロスしている姿を読みとることができた。それは、部品調達の面でも同じである。半導体・家電さらに化学と業種が異なることで多様性が増してくることは確かであるが、その基本的図式はそう違っていないように思われる。このようなことを前提にして、合同研究会において、米国における日系企業の競争優位形成、日本型経営の導入・定着・現地諸条件との摩擦と適応についての認識を深めると共に、東アジアとの比較も視野において検討している。次年度はヨーロッパにおける日系企業の調査を行い、三地域間の比較を最終的に行う予定である。