研究課題
伝統技術がもつ未来性についてはSUSTAINABILITYとPOLLUTION FREEであることが未来性として注目される。他方で、その風土適正こそが技術の生態的安定性を保証する。ここにおいて、「文化としての技術」の社会的性格と構造が浮かびあがってくる。われわれの作業はそこに焦点をあてている。初年度の作業から得た結果は、(1)在来技術は死滅の危機にあるものの、(2)しぶとく生き続けている。たとえば、インド北部やパキスタンの金属技術は近代製鋼の廃物(武器など)を利用し-製鋼工程を省略ないし放棄して-地方的需要をまかなって操業中である。また、中国陶磁器は標準化、量産化の方向と高級化、芸術指向の二水準化に分かれつつあるようだ。さらに、タイ、ベトナム、ビルマなどでは一度は消滅した技術(陶磁器)が再生してきた。近代技術との交配があったからである。そこで、改めて在来技術の系譜論が、資源論と人的交流の歴史に重ね合わされたしかたで、国境を横断した生態的な地図として描きなおすことの必要性が見えてきた。われわれは、その可能性を中心点または起点ではなくとも、技術の生態地図の一大交差点を中央アジアに設定することで、(1)中国・雲南-東南アジア系、(2)インド・イラン系、(3)トルコ・アルメニア系(イスラーム→ヨーロッパ)などの生態系を仮説すことで、第2段階に立ち入る。
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