研究課題
本研究においては市場経済体制への移行の目的で導入されてきた価格・貿易政策、財政政策、民営化政策等と農業生産者保護政策が、東欧の国々の農業部門に対して環境面でどういう影響を与えているのかを検証することが第一目的であった。初年度である本年に実施計画に沿って到達されたことは、以下の通りである。1.予備資料の収集を行い、農業を取り巻く環境要因の変化について検討がなされた。2.日本の研究代表者と研究分担者を含め現地調査が実施された。ポーランドとハンガリーにおける現地調査では、経済改革の進捗状況と各種経済政策が農業経営組織体レベルにおける環境に及ぼす影響について、情報とデータの収集及びヒアリングが行われた。さらにポーランドでは、政府及び民間の関係機関に対するヒアリングの他に、小農、近代化した個人農、民営化された協同農場について聞き取り調査が実施された。3.現地調査中に実施される現地研究分担者と日本チームの間の今後の作業スケジュール打ち合わせに基づき、各研究者は担当部分に関して調査終了部分に尽き、取りまとめをそれぞれの所属機関において行っている。そしてこれまでに、わかったことは以下の通りである。政治上の混乱は続くが、経済政策面では堅実な財政・金融政策を導入している両国において、経済発展の回復が見られ、農業分野においても構造変化が起こりつつあることが確認できた。そして環境面では改革により、農業部門においても資源利用の効率性が高まったことが確認できた。これをさらに環境への負荷が低く持続可能な営農形態へ導くためには、今後各種の制度改革が必要となることが分かった。ハンガリーにおいては土地の耕作権の移転に関する制度の整備が、またポーランドにおいては農業外雇用機会の創出と農村工業の発展が課題となっていることが分かった。これらに関しては、学術論文の形で報告をまとめつつある。
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