研究課題
本研究は、市場経済体制への移行の目的で導入されてきた価格・貿易政策、財政政策、民営化政策等と農業生産者保護政策が、市場経済への移行期にある東欧の国々の農業部門に対して環境面でどういう影響を与えているのかを検証し、持続可能な農業発展を図るという視点より環境への外部効果を内部化するための制度を考察し、広く移行期にある経済における環境政策面での政府の役割を明確化することを研究目的とした。本年度の研究においては、以下のことが達成された。1)急速に変容を遂げる移行期経済における経済改革と環境変化に関係して、ハンガリー農業の事例を取り上げ、現地調査を通じて研究がなされ、政策的含意を含む論文がまとめ上げられ、それは第11回国際農業経営学会で弦間とボロッシュにより報告された。そして、ポーランドの事例に関しても、同様の論文がコバルスキーと弦間によりまとめられようとしている。また、環境保全型農業の現状と課題が、ヒアリングをして収集した情報を通じて、レンビオコウスカと弦間によって、ポーランドの事例について、まとめられつつある。2)さらに、ハンガリーの農業関連の環境変化を作物レベルでモデル化する作業も、ライカイと弦間によって実施され、論文が書かれた。新しい経済環境が窒素肥料使用の低下をもたらし、それが地下水汚染の軽減をもたらしていることが、モデルを使い明示化された。3)上の分析により明示化された環境への外部効果と現実に存在する経済・環境政策との乖離につき問題検討が行われており、持続可能な農業発展を図るために必要な制度・政策について論文の形にまとめられている。そこでは持続可能な農業発展にする環境に負荷をかけないような農業生産形態を確立するためには、経済的インセンティブを与えるような制度の導入が求められていることが考察されている。
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