研究分担者 |
バジルド C. グリーンランド地質調査所, 研究員
ベロツェルコフスキイ A ロシア, 水文気象学研究所, 教授
スチュアート R.E. カナダ, ヨーク大学, 教授
ムーア G.W.K. カナダ, トロント大学, 準教授
佐藤 昇 大阪府教育センター, 研究員 (70187219)
早坂 忠裕 東北大学, 理学部, 助教授 (40202262)
梶川 正弘 秋田大学, 教育学部, 教授 (20042319)
桜井 兼市 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50002613)
遊馬 芳雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10183732)
上田 博 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80184935)
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研究概要 |
1995年11月下旬から1996年1月中旬にかけての約40日間,カナダ・ノースウェスト準州イヌビック(68°22′N, 133°42′W)において,冬期の北極域における水蒸気,エアロゾルの輸送過程と多結晶雪結晶の成長に関する現地観測を行った.観測はイヌビック科学研究センターに北海道大学大学院理学研究科所有の鉛直ドップラーレーダー,降雪量計,降水粒子観測装置,風向風速計,温度計,秋田大学所有のマイクロ波放射計,エアロゾルサンプラー等を設置し,顕微鏡による降水粒子の観測と成長実験,レプリカ法による雪粒子の採集を行った. その結果,鉛直レーダーによる観測から,降雪をもたらす擾乱の経路には二通りあり,一つはアラスカ湾から北東進する経路と,もう一つは,ボ-フォード海から東進する経路であり,経路の違いによって現地で観測される降水過程には大きな違いのあることがわかった. 一方,マイクロ波放射計による水蒸気量(鉛直積分値)は,快晴時の約0.2cmから,寒気移流時の約0.4cm,雲粒付雪結晶や霰が降る時には,0.9cmという変動を示した.また,雲水量(鉛直積分値)は,雲粒付雪結晶の時,約0.01cm以上で,霰の時は,約0.035cmまで増加した. 雪結晶の観測では,フィルム60本の偏光顕微鏡写真を撮影し,各種の低温型雪結晶を始めとして,針状結晶から霰を含むほとんど全ての結晶形を観測した.また,降雪粒子のレプリカは,約15分毎に合計519枚作成した.その他,過冷却小雨滴を3ケース,凍雨を4ケース観測することができ,鉛直ドップラーレーダーとマイクロ波放射計により,それらを形成した雲の構造の相違を明らかにすることができた.
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