研究分担者 |
AKUMBI M. ザイール自然科学研究センター, 技術官
MAVONGA T. ザイール自然科学研究センター, 研究員
WAFULA M. ザイール自然科学研究センター, 研究員
ZANA N. ザイール地球科学研究所, 所長
西村 太志 東北大学, 理学部, 助手 (40222187)
森田 裕一 東北大学, 理学部, 助手 (30220073)
笠原 稔 北海道大学, 理学部, 助教授 (40001846)
石井 紘 東京大学, 地震研究所, 教授 (30004386)
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研究概要 |
1.平成5年度に国連難民高等弁務官事務所及び外務省の要請により,東部のニイラゴンゴ,ニアアムラギラ火山の噴火活動を監視するため地震観測網を展開した.火山活動が依然続いているため観測を継続した.ニイラゴンゴは平成6年6月23日に噴火して以来平成7年10月まで火口内の溶岩湖の“水位"が上昇を続けた.この火山の周辺には80万人のルワンダ難民が依然として避難生活をしており噴火が起きれば大きな火山災害が予想される.国連の通信網を介してザイールの分担者と緊密な情報交換を行い火山活動の監視と評価を行った. 2.ニイラゴンゴの溶岩湖の水位を1ヶ月1度の割合でレーザー測距儀により測定した.1994年8月1日〜1995年7月31日までの1年間に約110m湖面が上昇した.これは1日当たり28cmの上昇速度に相当する.この値を用いて平均マグマ供給率を2.2x10^5m^3/dayと推定した.この値は溶岩湖が最初に形成された1982年6月の供給率の約1/2に相当する. 3.溶岩湖面の上昇は1995年10月に停止したことが確認された.従って,当初予想していた1996年10月に危険レベルに達するとの予測は撤回された. 4.一方,火山性群発地震活動はニイラゴンゴの北東,北西,南東などに位置を変えながら出現した.これは地下のマグマがその出口を求めて移動していることを示唆するものであり,火山活動が依然高い状態であることを示している.特に人口15万人のゴマ市の北方では有感地震を含む震源が決まり,この活動の推移を注意深く監視することが要求される. 5.1996年2月から今日までキブ湖の北岸近くで広範囲の変色水域が確認された.湖底での噴火活動の可能性も予想され,ニイラゴンゴ火山活動のシナリオにマグマ水蒸気爆発の可能性を追加する必要があることが判明した. 6.アフリカ・プレートはホットスポットが集中していることで特徴つけられる.この原因を調べるためマントル最下部から内核(コア)までの地震波の不均質性を調べた.核内を通過するPKP(BC)とPKP(DF)波の走時を解析し,アフリカを含む半球(183°w〜43°E)では内核の地震波の速度が平均場より遅く,逆に,太平洋を含む半球(43°E〜177°E)では速いという半球的なパターンが存在することを明らかにした.このような地球深部の不均質性の空間分布と地表面でのホットスポットの分布の関係をこれから検討する. 7.アフリカには近代的な地震観測所が少なく大陸下の構造や地震活動が精度良く求まっていない.これまでの地震火山観測の経験をふまえ広帯域地震観測網をザイールに展開し,高精度の構造と震源を決めることがこれからの研究では要請される.,将来的には,ニイラゴンゴの火山活動の監視にも役立ち,ひいては自然災害の軽減に寄与するのでこの方面の実行を企画したい. 8.現在,ニイラゴンゴ火山周辺の地震観測網では無線テレメーターとパソコンを用いてデータの効率的な収録・処理を行っている.しかしそれらの結果が日本に届くのは数日から数ヶ月かかり,火山活動の迅速なモニターリングができない.衛星通信によるデータ電送を採用して将来的にはこの時間差をちじめることが必要である.技術的には困難性はない.海外の噴火予知体制の構築に日本が貢献することが期待されていのでぜひ実現したい.
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