研究分担者 |
久田 健一郎 筑波大学, 地球科学系, 講師 (50156585)
長谷川 四郎 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (90142918)
鈴木 徳行 北海道大学, 大学院・理学研究科・地球惑星科学, 助教授 (00144692)
小泉 格 北海道大学, 大学院・理学研究科・地球惑星科学, 教授 (20029721)
BARINOV K ロシア科学アカデミー地質学研究所, 層序研究部, 研究員
GLADENKOV Yu ロシア科学アカデミー地質学研究所, 層序研究部, 部長
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研究概要 |
平成8年度は約3週間にわたり樺太最北端部のシュミット半島地域新生界を対象に現地調査及び試料採集を実施した.調査地域は無人のため,ロシア側の準備でキャンプ生活一式を調達し,オハからヘリコプターをチャータ-して現地入りした.調査は事前の検討から資料集を作成配布し,シュミット半島の北岸(調査前半:マチガルルート)と西岸南部(後半:ピルバルート)の異なる2つのルートを選択した.前半部ではマリ-イ岬基部からマチガル湖にいたる約10kmの海岸部に連続的に露出する新生界について,100分の1地質柱状図,5000分の1ルートマップを作成しながら,貝類や微化石分析用の系統的な試料採集を行った.また後半部では前半部でカバー出来なかった,より上位層について,ボルドナヤ川河口付近から南の海岸沿い約15kmにわたり露出する中新統-鮮新統を対象に,前半と同様に調査した. 平成8年度の日本側の採集試料は350産地で重量約350kgに達し,その大半は微化石・地球化学分析用で,ロシア側と(モスクワ)と日本側で共通した調査ルートの試料である.また,これらの試料は研究時間の問題等から機内持ち込み荷物として,それぞれ持ち帰った.試料は分割して有孔虫,珪藻,渦ベンモウソウ,花粉などの分析に当て,さらに重鉱物分析,石油地質学的な分析なども実施している.珪藻化石からはピルバルートのピリ層下部がDenticulopsis hyalina帯(中部中新統)に対比される事,さらに有孔虫化石から,シュミット半島部新生界の年代と対比の概要が把握出来た.これらの化石群集の特徴と堆積相などに基づき,樺太北部と南部,さらにこれらと北海道新生界との対比が一層明確になり,オホーツク海地域新生代の環境変動がより詳細に把握されつつある。
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