研究課題/領域番号 |
07041094
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762)
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研究分担者 |
ウッシュマンド A. イラン地球科学技術研究所, 所長
上野 勝美 筑波大学, 地球科学系, 講師 (90241786)
狩野 彰宏 広島大学, 理学部, 助手 (60231263)
角和 善隆 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70124667)
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キーワード | 先カンブリア / カンブリア境界 / P / T境界 / アバデ- / ジョルファ / 炭素同位体層序 / 希土類元素 / セリウム異常 |
研究概要 |
1、フィールドワーク:平成9年度のフィールドワークでは古生代の中生代の境界を挟むセクションの調査を行った。古生代の中生代の境界(P/T境界)は生物の大量絶滅が起きており、生物の進化だけでなく、地球表層環境の変動と進化のメカニズムを検討する上から特に重要な研究対象である。イランにはP/T境界層が連続的に露出するセクションが数箇所で確認されているが、今回はイラン中央部のアバデ-付近のP/T境界層で調査を行った。調査ではこれまでの方式に従い岩相、堆積相、層厚の正確な記載と化学分析用の試料の採取を行った。昨年度調査した北部イランのジョルファのP/T境界層とは多くの点で異なっていることが分かった。 2、希土類元素の分析:境界事変の原因と環境変動のメカニズムを知る上で、先カンブリア/カンブリア境界を含む古生界全体を通じての安定炭素同位体組成の変動(炭素同位体層序)を明かにすることをラボワークの最重点課題としてきた。今年度はこれに加えて、炭酸塩鉱物中に取り込まれる希土類元素の含有量の定量を行った。コンドライトや平均頁岩で規格化した含有量の変動パターン上で認められるセリウムの異常から炭酸塩生成時の海洋の酸化還元状態を復元することが可能である。これまでに得られたデータの解析から、カンブリア紀の初期に顕著な酸化の兆候が、それ以外の先カンブリア紀末期と前期古生代では概ね還元的海洋が卓越していること、石炭紀の後期に向かって再び酸化的傾向が強くなることが明かになった。
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