研究分担者 |
IVANOV V.V. ロシア科学アカデミー, 極東支部・構造地質学地球物理学研究所, 研究員
KHANCHUK A.I ロシア科学アカデミー, 極東支部・構造地質学地球物理学研究所, 所長
ROMANOVSKY N ロシア科学アカデミー, 極東支部・構造地質学地球物理学研究所, 所長
佐藤 興平 地質調査所, 鉱物資源部, 主任研究官
根建 心具 鹿児島大学, 理学部, 教授 (10107849)
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研究概要 |
平成9年度前半には、シホテアリン地域中北部Anyui川およびGobili川流域の変成堆積岩類および花崗岩質岩石の地質調査を行なった.この地域には顕著な鉱化作用は認められないが,それだけに熱水変質をあまり被っていない堆積岩や変成岩が存在しており,鉱化作用前の地質現象が明らかになることが期待される.しかしながら,地表に露出してからの時間が長いため,花崗岩類については風化が著しく進んでおり,生成年代を測定できるような試料の産出は限られている.現場では,花崗岩の帯磁率を測定したが,いずれも極めて低い値を示し,多くはイルメナイト系列の花崗岩に属することが明らかとなった. 平成9年度後半には,シホテアリン地域南部,とくにウラジオストク南部の諸島,ナホトカ東方の海岸線などにおける花崗岩の産状および性質,ウラジオストク北西方の蛍石鉱床を調査した.ウラジオストク南部の花崗岩は赤色を帯びた長石を伴い,マグネタイト系列(〜イルメナイト系列)の花崗岩が多いことが明らかになった.一方,ナホトカ東方の海岸線には外来岩片や捕獲岩を含むことが多く,イルメナイト系列(〜マグネタイト系列)の花崗岩質岩石が多いことがわかった.これら,岩石の造岩鉱物の化学組成,とくに弗素・塩素REEについて分析した結果,これらの花崗岩間に分化の過程を示すと考えられる変化が存在することが示唆される.また,蛍石鉱床では,現場での観察の結果,石灰岩の交代作用およびスカルン化作用によって生成したことが強く暗示される.この鉱床に産する硫化鉱物や流体包有物の性質について,室内研究を続行中である.
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