研究課題
平成8年度は、中日友好環境保護センター、清華大学の協力を得て、上海市・広州市の埋立地の実態調査及び簡易セミナーを実施した。上海市では、沿岸部の湿地帯を利用した海面埋立地で、総面積310haの広大な土地に1991年より一般家庭ごみを中心に約5000t/日が埋め立てられている。埋立面は、5ha毎に区画されており、埋立高が4mになった時点で30cmの覆土を施し一区画の埋立地が完了した時点で更に60cmの最終覆土を行う方式である。浸出水は、浸出水処理施設で生物処理した後に海に放流されていた。しかし、埋立作業面が広大で、転圧が不十分で、廃棄物の飛散も著しく、非衛生的であった。また雨水の排除も不十分で、雨水の滞水によって埋立面が軟弱となっている。発生ガスの排除も効果的でなく、浸出水の処理も改善する必要がある。広州市では、谷間を利用した山間埋立地で、総面積32haの土地に一般家庭ごみを中心に約2000t/日受け入れている。典型的なオープンダンピングで、作業面も広く、覆土も施されず、埋立方式も落し込み方式のため圧縮が不完全である。埋立地は嫌気的となっているため、メタンガスの発生が著しく、大気中濃度で1%以上あり、作業環境も危険であった。以上の実態調査結果より、(1)埋立作業面の改善(2)区画埋立によるマウンティングアップ工法の採用(3)ガス抜き管の設置(4)準好気性埋立構造の改良等によって衛生埋立地の初期段階への改善が可能であると判断された。又、浸出水の循環によっても浸出水水質の改善が可能である。平成9年度は、広州市の埋立地において、衛生埋立地へのモデル改善実験を行なう計画で現在中国側と交渉中である。上海市・広州市でも実施した衛生埋立セミナーも好評であり、特に低コストシステムが注目された。
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