研究課題/領域番号 |
07041118
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
喜田 宏 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10109506)
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研究分担者 |
SVETRANA Yam ロシア科学アカデミー, イワノフスキーウイルス研究所, 教授
河岡 義裕 ウイスコンシン大学, 獣医学部, 教授
高田 礼人 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (10292062)
岡崎 克則 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90160663)
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キーワード | シベリア / 水禽 / 渡り鳥 / 糞便 / 湖沼水 / レナ河 / ニューキャッスル病ウイルス / インフルエンザウイルス |
研究概要 |
平成9年度は8年度に引き続き、8月にロシア共和国内サハ自治共和国で環境省の観測船を借り上げ、レナ河流域で渡り鴨のインフルエンザの疫学調査を実施した。水禽糞便および湖沼水1,600検体余りを採取し、発育鶏卵に接種してウイルス分離を試みた。北緯65度00分〜64度36分の四十諸島地域で採取した水禽糞便1,350検体と付近の湖沼水20検体からはいずれもウイルスは分離されなかった。鴨の営巣湖沼が当該地域にないことを示すのかも知れない。北緯63度30分のコベイスキー地区で採取した水禽糞便120検体からH4N6亜型インフルエンザウイルス1株ならびにニューカッスル病ウイルス2株、ヤク-ツクで採取した鴨の糞便72検体からH3N8型インフルエンザウイルス5株ならびにニューカッスル病ウイルス2株が分離された。鴨の営巣湖沼は主にコベイスキー地区以南にあることを示すのかも知れない。これまでサハ国内では営巣湖沼の調査はボ-トと徒歩によるもののみであった。内務省のヘリコプターが利用できる可能性があり、その借り上げが実現すれば、材料採取は極めて効率化される。 10月末に北海道宗谷地方において採取した水禽不便326検体からインフルエンザウイルスH6N1亜型1株、H8N1亜型1株、H9N2亜型1株ならびにH1N9亜型1株を分離した。 平成8年度および9年度にレナ河流域および北海道の水禽糞便から分離されたインフルエンザウイルスのNP遺伝子の系統進化解析を実施した。その結果、調べた分離株すべてが新型インフルエンザウイルスの発生地である中国南部を含むアジア大陸に分布するウイルスの系統に属することが判明した。以上の成績は、新型インフルエンザウイルスの抗原亜型を予測するためには、シベリアの水禽営巣地におけるインフルエンザウイルスの分布をさらに解明する必要があることを示している。
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