研究概要 |
南アフリカ共和国で1995年10月26日-11月26日の間、調査を行った。Theileria感染の認められた2ケ所の国立公園の野性バッファロ-、アンテロープ類(ウオーターバック、セ-ブル・アンテロープ)、東トランスバ-ルで飼育されている牛、Babesia感染の認められた馬のDNAあるいは血液試料を収集した。現在DNA試料として日本に持ち帰り、それらの表面抗原遺伝子を遺伝子増幅(PCR)後、塩基配列を解析している。Theileria感染試料については、日本あるいは東アジアに分布しているT. sergentiの表面蛋白質(p32)遺伝子を増幅しうるプライマーでPCRを行ったが、増幅産物が認められず、T. sergentiとは遺伝的に異なる良性タイレリアが南アフリカの野性動物、家畜に分布していることが推測できた。さらに、T. parva, T. annulataの表面蛋白質遺伝子(p32ホモログ)に基づき、それらの保存領域からプライマーの設計をやり直し反応を行ったところ、一部の試料(バッファロ-)から約800塩基対のバンドが増幅されてきた。その塩基配列を決定しT. sergenti, T. parva, T. annulataの表面蛋白質遺伝子と比較したが、いずれの間とも高い相同性は認められなかった。さらに、バッファロ-Theileriaのデータからプライマーの設計を行ったところ、ほぼ全バッファロ-試料から陽性バンドが確認できた。これらの塩基配列は解析中であるが、未知のTheileria原虫種が存在することが推測された。馬のDNA試料からはB.equiの存在が確認され、遺伝学的には米国あるいはロシアに存在する株とほぼ同一であった。ケニア・英国での調査は1996年2月15日-3月22日まで行う計画で、同様の試料収集にあたる。
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