研究課題
1.昨年度に引き続いてサラワク(マレーシア)で、および今年度は新しくセラム島(インドネシア)で調査を行い、特異な異時性進化を遂げたと思われるMonphyllaeaの資料を採集した。これによっていくつかの種について資料を追加することができた。これ以外にも収集した資料を用いて以下の研究を行った。2.資料の中にMonophyllaeaの新種の可能性がある種が2、3含まれているので、詳細な分類学的研究を行い、この植物の分類をさらに進展させる予定である。3.Monophyllaeaの約10種について分子系統解析を行っている。今後、さらに種週を増やして系統関係を推定し、形態形質に基づいて提唱された分類体系との比較検討を行う予定である。4.Monophyllaea horsfieldiiおよびM・hirtellaについて種子の段階から形態発生を詳細に追跡している。現在までに分かったことは、子葉ができた後、普通葉に匹敵する形態形成が1つの子葉の基部で始まり、非茎頂由来の介在分裂組織がその基部に新しく生じるが、この様式は、Monophyllaeaと同様1枚の葉しかつけないStreptocarpusの場合とは異なることが分かった。また、1年草であるM.glabraは生殖期に入ると葉の分裂組織が消失するのに対して、同じく1年草とみられるM.Minimaではその段階でも消失せず、種によって形態形成様式が異なっているらしいことも判明した。5.マトニア科の分子系統を行い、形態的にかけ離れたMatoniaとPhanerosorusが近縁であるというこれまでの分類系を支持する結果を得た。幼植物の葉を比較し、PhanerosorusがMatoniaから異時性によって進化した可能性が高いことを確かめた。
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