研究分担者 |
ELABIDINE Zi モロッコ国立農業資源研究所, 助教授
MOKINA Cano カタリーナ公立大学, 農工学研究所, 教授
森川 利信 大阪府立大学, 農学部, 講師 (90145821)
冨永 達 信州大学, 農学部, 助教授 (10135551)
大田 正次 京都大学, 農学部, 助手 (80176891)
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研究概要 |
地中海の東部とくにパレスチナからトルコ東部を経てチグリス・ユ-フラティス川流域に至るいわゆる肥沃な三日月地帯はコムギの起源地かつムギを生産基盤とした西欧文明の発祥地として知られている。さらに,穏やかな地中海の内海水運と周辺の多様な生態学的生産環境に恵まれ,地中海周辺地域はムギ類の二次的多様化地域と考えられる。例えば,オオムギ,ライムギあるいはカラスムギ(エンバク)などは拡大展開してゆくコムギ畑の雑草から起源したと考えられる。さらにエンバクの野生種はアフリカ大陸北西部にたくさん分布している。また,コムギに近縁なエギロプス属は野草や随伴雑草として当該調査地域にも分布を広げているので従来中近東から地中海東部の島々やあるいは東部沿岸地域で採集されたエギロプス属植物と比較することによりこれらの植物の種内分化ひいては種の進化のメカニズムを比較生態遺伝学的に検討できる。 今,世界の各地で生態環境が破壊されつつある。調査地域も砂漠化や都市化などの問題に直面している。さらになぜかコムギの多様な地域は昔から民族紛争が絶えない。そこで,今のうちにムギ類の遺伝資源の採集と評価が緊急の課題でもある。これに関しては世界一の伝統を誇るわが国のわれわれの使命とも考えている。 調査地域とくにモロッコはこの種の研究に遅れているため現地の中堅研究者の本研究への参加で従来まったくなかった研究交流が期待される。本年度調査で上記のほとんどが実施できカナリー諸島,スペイン北部およびモロッコ北西部で総数1000点余りのサンプルを採集でき,膨大な写真や聞き取り調査による記録もできた。現在,来年度以降に継続計画されている本研究と近い将来の本格的報告書作成に向け,鋭意増殖と分析を日本で進めている。
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