研究課題/領域番号 |
07041141
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
内藤 親彦 神戸大学, 農学部, 教授 (70031226)
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研究分担者 |
桜井 一彦 成城大学, 短期大学部, 助教授 (80259118)
罵 洪 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 教授 (70038280)
中西 明徳 姫路工業大学, 自然環境学研究所, 教授 (40038469)
三枝 豊平 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 教授 (30038450)
日高 敏隆 滋賀県立大学, 学長, 教授 (70014892)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 昆虫多様性 / 中国南西部 / 日華区系要素 / 適応放散 / 系統発生 / 核型進化 / 比較生態 |
研究概要 |
本調査は過去3年間にわたり、日華区系の中心地域である中国雲南省、貴州省、陜西省において、主要昆虫群の生物多様性の調査を多面的に行ない、以下の結果を得た。資料昆虫の採集は、チョウ類約180種1700個体、ガ類1600個体、ハバチ類約550種3200個体、寄生バチ類3000個体、オドリバエ、アシナガバエ、キノコバエ、タマバエなどの糸角群類約10万固体、ヤドリバエ類約2700個体、ハナノミ類を含む甲虫類約8000個体、キジラミ類56種約1200個体、カメムシ類約400個体に及んだ。生態調査では、オトシブミ類の揺りかご形成習性やハラボソバチ類の造巣習性を中心に、その他の昆虫群でも食草や幼虫発見などの生活史の解明に多くの親知見を得た。ハバチ類では、現地において染色体プレパラートの作成を行なって80種について核型を明らかにした(n=6〜20)。 過去3年間に得た資料の解析は現在も継続中であるが、以下の傾向が読み取れる。1.中国南西部には日本の4〜5倍の昆虫種が分布している可能性がある。2.属レベルでの日本との共通性は70〜80%と高いが、種レべルでは平均して10%以下と思われる。その類似度は陜四省など北部ほど高く、雲南省南部や貴州省低地では東洋区系の属や種が多い。3.これまで日本固有種と考えられてきた種と同種またはきわめて近縁な新種がこの地域から多数発見された。4.この地域固有の新属や種群も各昆虫群で発見された。5.以上の事実は、中国南西部は昆虫多様性がきわめて高く、日華区系における昆虫類の系統分化の中心地とみなすことができ、分布の拡大の過程で頻繁に種分化をおこし、それらの一部が日本に到達したものと考えられる。
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