研究分担者 |
LOC Chau Ba カントー大学, 畜産獣医学部, 学部長
XUAN BoーTong カントー大学, 副学長
山縣 高宏 名古屋大学, 農学部, 助手 (50242847)
岡林 寿人 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (60130887)
角田 健司 昭和大学, 医学部, 助教授 (40095906)
並河 鷹夫 名古屋大学, 農学部, 教授 (70111838)
天野 卓 東京農業大学, 農学部, 教授 (90078147)
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研究概要 |
本研究はベトナム南部の動物資源の遺伝学的調査を行ない、インドネシア、スリランカ、バングラデシュ、ネパール、タイ、フィリピン、中国などの東南アジア諸国での調査結果と比較することにより、動物資源としての特徴ならびに利用に関する基礎的知見を蓄積することを目的として実施した。 1.調査動物、調査地域、並びに血液・形態測定等の試料採取数 ( )は以下のとおりである。 ウシ : Soc Trang (26),An Giang (24),Binh Thuan (20),Ninh Thuan (13),Ba Ria (18) 水牛 : Cantho (32),Soc Trang(4),Binh Thuan (20),Hochi Minh (25),Son Be (21) 山羊 : An Giang (43),Binh Thuan (20),Ninh Thuan (20) 羊 : Ninh Thuan (34) アヒル : Cantho (140),Soc Trang (18),Binh Thuan (20),Ninh Thuan(41) 在来鶏 : Soc Trang (3),An Giang (16),Ba Ria (16), 烏骨鶏 :Cantho (14),Soc Trang (17),Ba Ria (5),Hochi Minh (10) スンクス : Soc Trang (5),Cantho (9),An Giang (3),Binh Thuan (6),Ba Ria (5) Hanoi (2) マウス : Hanoi (1) 今回の調査対象動物のなかで、ブタについてはベトナム在来種の飼育地域が山間部に限定されており、血液等の試料採取が困難であったため、聞き取り調査のみを行なった。 2.調査項目の概要 (1) ウシ、水牛、山羊、羊については、体尺測定値、飼育頭数、経済形質、形態形質などの記録を行ない、血液試料等は血液型の判定並びに電気泳動法による蛋白質・酵素の多型座位を現地で分析した。 (2) ニワトリとアヒルについては、飼育頭数、体重や産卵などの経済形質と羽色などの形態形質の記録を行ない、血液試料等は血液型の判定に用いた。時間の関係で分析未了の血液試料等は、検疫を受けたのち日本に持ち帰り分析を継続する予定である。 (3)スンクス・マウスについては、体尺測定値、経済形質、形態形質などの記録を行ない、血液試料等は検疫を受けたのち日本に持ち帰り分析を継続する予定である。 3.調査結果 (1) 改良種の影響 ウシについては、ほとんどの調査地域においてインドの改良種 (シンディ、オンゴル) との交雑が進み、純粋なベトナム在来種が急減している。 山羊・羊については、純粋なベトナム在来種は山間部の少数民族が飼育しているのみで、平野部ではインドの改良種のみが飼育されていた。 豚については、ほとんどの調査地域においてヨーロッパの改良種 (中ヨ-クシャ) 純粋なベトナム在来種は山間部の少数民族が飼育した。 アヒルについても、改良種との交雑および改良種への置き換えが認められたが、その程度については今回の調査だけでは十分な結論が得られなっかった。 ニワトリについては、在来種はかなりよく保存されていたが、ベトナム原産といわれている小型のゲームタイプのニワトリが激減しており、今回の調査でも10数羽が確認されたのみでその絶滅が危惧される。 スンクスはベトナム固有種とみられる個体が多数生息しており、新しい動物資源としての利用が可能と思われる。 マウスはベトナム南部ではまったく捕獲できず、わずかに北部で数匹が確認できたことから、南部にはマウスの分布が無いかもしれない。 (2) 形態形質、電気泳動・血液型などの分析結果 (一部のみ、他は分析中) ニワトリ、山羊並びに羊以外動物の分析項目については、現在、研究分担者のもとで分析を継続中であり、結果を取り纏めしだい学術雑誌に公表の予定である。 ニワトリの電気泳動法による分析では、蛋白多型座位のうちアルブミン、ヘモグロビン、ポストアルブミン、アミラーゼの4座位では変異がみとめられず、アルカリホスファターゼ (Akp&Akp-2)、エステラーゼ、プレアルブミン、トランスフェリンの5座位で多型が認められた。また、血液型では、主要組織適合遺伝子座のBシステムにおいて多型性に富んでおり、他の東南アジア諸国の在来鶏と似た傾向を示した。 山羊では、トランスフェリンBおよびC遺伝子が多くインド系に属すると考えられる。羊では、トランスフェリンCおよびヘモグロビンA遺伝子の頻度がたかい。
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