研究課題
平成8年度の調査はタイ、中国、ミャンマーで実施し、アクリジンオレンジ(AO)法による診断とマイクロプレート法および新たに考案したネスティドPCR法を用いた遺伝子診断法による診断結果を比較検討した。1.タイにおける調査はミャンマー国境の3つの町に於て実施し、平成7年9月より平成8年6月までの間に、合計548名のマラリア陽性標本が得られた。AO染色法による診断では多数の四日熱マラリアと合計8例の卵形マラリアが見いだされた。この診断結果はネスティドPCR法を用いた遺伝子診断法により再確認され、四日熱マラリアの検出率は20%に昇った。また、熱帯熱マラリアの数例は昨年見い出され変異株と同一であったが、後にミャンマーとインドネシアからも再確認され、この新型変異株は東南アジアに広く分布しているものと考えられた。2.中国の調査は四川省の2県で実施し、四日熱マラリアが39例に認められた。ネスティドPCR法では正常の増幅遺伝子よリ19塩基短い増副産物が得られ、塩基配列から新型の四日熱マラリアと判明した。この新型の四日熱マラリアは、後にタイ、ミャンマー、インドネシアからも見い出され、熱帯熱マラリア変異株と同様、東南アジアに広く分布していると考えられた。3.ミャンマーのマラリアの疫学調査は、最南端のコウトン県の2村の住民、および県立病院の外来発熱患者を用いて実施した。タイと同様、多数の四日熱マラリアと卵形マラリアが検出され、ネスティドPCR法により確認された。4.インドネシアは現地調査を実施できなかったが、代わって共同研究者がスンバワ島で調査を実施し3村から315名の標本を得て日本に持参した。現在もネスティドPCR法による診断を継続中である。
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