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1996 年度 研究成果報告書概要

東南アジアにおける新型ヒトマラリアの疫学調査

研究課題

研究課題/領域番号 07041159
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関名古屋大学

研究代表者

川本 文彦  名古屋大学, 医学部, 講師 (40115556)

研究分担者 TANTULAR Ind  アイルランガ大学, 医学部, 講師
WIRJATMADI B  アイルランガ大学, 医学部, 講師
DACHLAN Yoes  アイルランガ大学, 医学部, 助教授
WONGSRICHANA チャンスタ  アメリカ陸軍医科学研究所, 研究員
山本 敏充  名古屋大学, 医学部, 助手 (50260592)
近藤 高明  名古屋大学, 医学部, 助手 (00195900)
松岡 裕之  自治医科大, 講師 (10173816)
木村 政継  大阪市立大学, 医学部, 助手 (60195378)
綿矢 有佑  岡山大学, 薬学部, 教授 (90127598)
WONGSRICHANALAI Chansuda  Dept.of Immunol., Armed Forc.Res.Inst.Med.Sc., Bangkok
研究期間 (年度) 1995 – 1996
キーワードマラリア / 遺伝子診断 / アクリジンオレンジ染色 / 新型変異株 / タイ / インドネシア / 中国 / ミャンマー
研究概要

1.タイにおけるマラリアの疫学調査は、ミャンマー国境のタイ北部のマエホンソン、タイ中部のサンカブリ、タイ南部のラノンに於いて実施した。現地共同研究者の協力を得て、平成7年9月より平成8年6月までの間に、合計548名のマラリア陽性標本が得られた。現地検査者のギームザ厚層染色法による診断では、全て熱帯熱マラリアか三日熱マラリアの単独感染と診断されていた。
(1)アクリジンオレンジ(AO)染色法による診断では多数の四日熱マラリアの感染が認められ、卵形マラリアも合計8例見いだされた。この診断結果は新たに考案したネスティドPCR法を用いた遺伝子診断法により再確認された。
(2)ネスティドPCR法では合計8例の卵形マラリアが新たに見い出された。しかし、マイクロプレート法による卵形マラリアの診断では、AO法で診断された8例の内、3例は陰性を示し、遺伝子配列の調査からベトナムで見い出されている新型変異株であることが判明した。この変異株は後にミャンマーからも高率に見い出され、東南アジアに広く分布しているものと思われた。
(3)四日熱マラリアは、マエホンソンでは61名、、サンカブリでは13名、ラノンでは59名から検出され、全体の平均検出率は20%に昇った。タイでは、四日熱マラリアは通常1%以下とされており、また卵形マラリアは20年間でわずか5例しか報告されていないことから、本研究結果は、タイにおけるマラリア種の分布状況を大きく覆すものである。
(4)熱帯熱マラリアの数例はPCR法で陰性となり新型の変異株と予測されたが、遺伝子配列を検討した結果、ターゲット部分の一塩基が従来型と異った新型の変異株と判明した。
2.インドネシアでのマラリアの疫学調査は、フローレス島の住民および病院の外来発熱患者を用いて実施した。タイと同様、AO法による診断とマイクロプレート法およびネスチドPCR法を用いた遺伝子診断法による診断結果を比較検討した。その結果、約100名のマラリア陽性者が検出された。
(1)フローレス島での調査では、ネスティドPCR法により7例の四日熱マラリアが確認された。また、卵形マラリアが2例検出され、共に正常な遺伝子配列を有していた。タイで見いだされた熱帯熱マラリアの新型変移株も10例に検出され、この新型変異株は東南アジアに広く分布しているものと考えられた。
(2)スンバワ島では、3村から315名の標本を得た。現在ネスチドPCR法による診断を継続中である。
3.中国の調査は四川省の2県で実施し、四日熱マラリアが39例に認められた。
(1)いずれもマイクロプレート法による四日熱マラリアの診断では陰性となり、新型株と推察された。
(2)この推察は後にネスチドPCR法で確認され、ネスチドPCR法では正常の増幅遺伝子より19塩基短い増副産物が得られ、塩基配列から新型の四日熱マラリアと判明した。この新型の四日熱マラリアは、後にタイ、ミャンマー、インドネシアからも見い出され、熱帯熱マラリア変異株と同様、東南アジアに広く分布していると考えられた。
4.ミャンマーのマラリアの疫学調査は、最南端のコウトン県の2村の住民、および県立病院の外来発熱患者を用いて実施した。その結果、約500名から71名のマラリア陽性者が検出された。
(1)タイと同様、Nested PCR法により6例の四日熱マラリアが確認された。
(2)卵形マラリアは11例に検出され、正常株と変異株が見い出された。
(3)タイで見いだされた熱帯熱マラリアの新型変移株は5例に検出され、この新型変異株は東南アジアに広く分布しているものと考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] F.Kawamoto et al.: "Sequence variation in the 18S rRNA gene, a target for PCR-based malaria diagnosis, in Plasmodium ovale from southern Vietnam." J.Clinical Microbiology. 34. 2287-2289 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] C.Wongsrichanalai et al.: "In vitro susceptibility of Plasmodium falciparum isolates in Vietnam to artemicinin derivatives and other antimalarials." Acta Tropica. In press.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] M.Kimura et al. (in preparation): "Identification of the four species of human malaria parasites by nested PCR that targets variant sequences in the small subunit rRNA gene." Parasitology International.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] M.U.Ferreira et al.: "Stable patterns of allelic diversity at the merozoite surface protein-1 of Plasmodium falciparum in clinical isolates from the southern Vietnam" J.Eukaryotic Microbiology. (in preparation).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Z.Mian et al.: "High Prevalence of Plasmodium malariae and P.ovale in malaria patients along the Thai-Myanmar Border" J.Clinical Microbiology. (in preparation).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] F.Kawamoto et al.: "Comparison of the morphologies of same malaria parasites stained with acridine orange and then Giemsa" J.Clinical Microbiology. (in preparation).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1999-03-09  

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