研究課題/領域番号 |
07044007
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高田 時雄 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (60150249)
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研究分担者 |
BATTAGLINI M ローマ国立図書館, 東洋写本部, 部長
VITA Silvio ナポリ東洋大学, 助教授
森賀 一惠 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (60243094)
井波 陵一 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (10144388)
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キーワード | 漢籍 / 中国書 / イタリア / ローマ / イソップ / 意拾喩言 / 意拾祕傳 |
研究概要 |
今年度は昨年度に引き続きローマ国立中央図書館を拠点として調査を行った。ローマではさらにヴァチカンの補充調査を行うとともに、アンジェリカ、リンチェイ学士院、ローマ大学東洋部、中極東研究所などの図書館において中国書の調査を行った。ローマ大学の蔵書は主にイノチェンティーニ教授の蒐集で、中極東研究所所蔵のものはほとんどが故ジュゼッペ・トゥッチ教授の旧蔵書である。それぞれおよそ百点ほどであるが、清末から民国初期の刊本がほとんどを占め、書誌の上で注目すべきものは少ない。一方、アンジェリカ、リンチェイ学士院はその起源が中国ミッションと密接な関係を有するため、所蔵数量は多くないものの、明末の貴重な刊本を見出し得た。 ローマ以外では、今年度は北イタリアに足を伸ばし、フィレンツェ国立中央図書館、ボロ-ニャ大学図書館、ベネツィア国立図書館などにおいて調査を行った。所蔵数量はどこも多くないが、間々興味ある未紹介の明末刊本などを発見できた。フィレンツェの万暦刊本三国志演義、同列女伝などはその一例である。またボロ-ニャ大学所蔵の広東刊本ロバート・トム訳「意拾秘伝」は、明治初年にわが国に伝わり絶大な影響を与えた「意拾喩言」(イソップ物語)の初刻本であり、「意拾喩言」の序文によれば広東官憲によって焼棄されたと言われる本であることが判明した。この興味ある刊本については近く紹介の豫定である。 目録作成の基礎工作の進捗状況についていえば、最大收蔵量を誇るローマ中央図書館所蔵分はほぼ三分の二について書誌事項調査を終了し、現在コンピュータに入力中であり、また調査済みの小蒐集については、ローマ大学および中極東研究所の一部が調査表未記入である以外はすべて調査完了し、これも逐次コンピュータ入力を行っている。ただ通信による全国アンケートの返事が現在続々と帰ってきており、小蒐集の要調査個所は増加が見込まれる。
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