研究概要 |
本年度は,共同研究の最終年度として,「科学観」,「自然観」,「科学への関心と活動」の四つのテーマに関して,平成8年度に実施した各国の調査研究結果をデータベース化した。そして研究成果を国内外の学会等で発表し,評価を受けると共に,各国の研究分担者による情報交換を行いながら,理論的解釈説明をまとめた。 まず,日本側研究分担者である中山が7月にオーストラリアにて「自然観」に関する研究成果を発表した。その後,9月に,アメリカ,オーストラリア,フィリピン,タイから各国の研究分担者1名が広島へ集まり,情報交換を行うと共に,共同研究を行った。そこでは,各国の調査担当研究者による解説及び各国の実情報告を交えながら,データ比較を行い,教育学的解釈が総合的に集約された。その後,11月にアメリカへ吉田・小倉が,11月に中国へマンザ-ノが,1月にフィリピンへ小倉が渡航し,「科学観」や「科学への関心と活動」に関する研究成果について学会発表を行ったり,研究の追加調査を行うと共に,今後の課題等について総括的協議を行った。 その結果,科学論において,ポストモダンといわれる相対主義的科学観は,アメリカ,オーストラリアといった西洋諸国よりもむしろ,タイ,フィリピン,中国,日本といった東洋諸国の子どもにおいて多く見いだされた。自然観については,東洋諸国と西洋諸国とでは,共約不可能な部分が多く見いだされた。そして,理科への関心や活動は,国間はもちろん,男女間でも違いが見いだされた。これらはいずれも当該研究領域の空白部分を埋めるものであり,新しく得られた知見である。 本年度の研究成果は,平成7年度,平成8年度の研究成果と併せて,英文の研究報告書としてまとめられた。
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