研究分担者 |
袁 靖 北京考古研究所, 助教授
朱 延平 北京考古研究所, 助教授
デリューギン V. A. ハバロフスク市文化センター, 調査官
とう 聡 香港中文大学, 中国考古・芸術センター, 所長
コノネンコ N. A. 歴史考古民族学研究所, 上級研究員
シャフクーノフ E. V 極東大学, 考古民族学講座, 教授
宮尾 亨 国學院大學, 文学部, 助手 (90245655)
白石 典之 新潟大学, 人文学部, 助手 (40262422)
岡村 道雄 文化庁, 紀念物課, 技官
藤本 強 東京大学, 文学部, 教授 (60011293)
田中 琢 国立奈良文化財研究所, 所長 (40099958)
小林 達雄 国學院大學, 文学部, 教授 (70119048)
|
研究概要 |
本年度は、ロシア共和国・香港から計3名の外国人研究者を招聘し、一方日本からは中国及び香港地区・ヴェトナム国・ロシア共和国へ計5名の日本人研究者を派遣し、基礎的資料の収集を図った。その結果、以下のような新事実を明らかにすることができた。 1)昨年、加藤以下4名が直接現場に訪れ、発掘状況を子細に観察したロシア極東ゴンチャルカ遺跡出土の木炭片を入手することができ、本年度その年代測定を行うことができた。測定値は10,590±60、12,480±60であり、、オシポフカ文化(尖頭器を伴出する(細石刃石器群)に伴う土器の出現年代は、やはり1万年を越えることがここに再確認された。 2)今年度、加藤以下4名が訪れることができた江西省及び湖南省考古研究で、仙人洞・吊桶環・玉蟾洞出土の遺物を子細に観察した結果、従来紹介されていた内容と異なることが明らかにされた。前2遺跡の遺物群は、細石刃石器群として認識されていたが、私たちの検討の結果では、それは誤りであり、玉蟾洞遺跡のものも含めて、ずべて不定形剥片石器群に属するものであることが明らかにされた。また、伴出土器群についても、「泥片貼塑法」という製作技法が提唱されているが、これについても疑問が提示された。その一部は、日本の草創期の土器群の製作技術に類似することも指摘された。 3)中国江南地方・南シナ海沿岸部の後期旧石器〜新石器時代初期に普遍的に分布している不定形剥片石器群は、その文化的系譜に関して、ヴェトナム国ホアビン文化に発するという学説がある。今回、ヴェトナム国考古研究所において観察したホアビン文化を代表するソム・チャイ遺跡出土の遺物群を詳細に観察した結果、剥片剥離技術の上で前地域の石器群とは大きく異なることが明らかにされた。全く別系譜の石器群であることがわかり、従来の学説に疑義が生じてきた。
|