研究課題/領域番号 |
07044010
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研究機関 | 国学院大学 |
研究代表者 |
小林 達雄 國學院大學, 文学部, 教授 (70119048)
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研究分担者 |
とう 聡 香港中文大学, 中国研究所, 助教授
袁 靖 中国社会科学院, 考古研究所, 助教授
シャフクーノフ E・V. ロシア国立極東大学, 考古学民族学講座, 教授
藤本 強 新潟大学, 人文学部, 教授 (60011293)
田中 琢 奈良国立文化財研究所, 所長 (40099958)
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キーワード | 細石刃石器群 / 楔形石器 / 不定形剥片石器群 / 土器胎土 / 土器器厚 / 縄文草創期 / 土器製作技術 / 流儀 |
研究概要 |
本年度は、ロシア、中国、香港から計5名の外国人研究者を招聘し、一方で中国および香港、ロシアへ計5名の日本人研究者を派遣し、基礎的資料と関連情報の収集を図った。その結果、以下のような成果を得た。 1、小林達雄ほか4名は、中国広西壮族自治区で柳州市博物館、桂林市博物館、広西省博物館を訪れ、現地研究者と懇談し、中国華南地方にひろく出現期土器が存在することを確認した。特に白蓮洞遺跡、鯉魚嘴遺跡、廟岩遺跡、甑皮岩遺跡を見学し、江西省仙人洞遺跡や吊桶環遺跡、湖南省玉蟾岩遺跡などと同様に、細石刃石器郡とは別系統の楔形石器を主体とする不定形剥片石器郡に伴って出現する土器を確認するに至った。これらの土器は胎士中に大粒砂利を多量に含み、器体の厚い点でも江西省や湖南省と共通しており、ひろく共通の流儀が存在していることを窺わせている。また、日本における土器出現期である縄文草創期と比較した場合、胎土や器厚に関して著しく相違することも明らかになった。ただし、昨年度指摘したように土器の製作技術は、中国で提唱されている「泥片貼塑法」には疑問があり、縄文草創期土器と類似した製作技術が予想される。 2、中国華北地方の河北省虎頭梁遺跡と南庄頭遺跡出土の土器を入手し、観察する機会を得た。熱ルミネッセンス法による分析結果では、それぞれ11,800B.P.と10,000〜11,000B.P.の年代を示すこれらの土器は、華南地方とは異なる精緻な胎土を呈しており注目される。今後、放射性炭素同位体分析などの分析方法で多角的に年代推定を行う必要がある。 3、ロシア極東ゴンチャルカ遺跡における1万年を越える土器出現年代について再度討議がもたれ、改めてその重要性が確認された。 4、中国人研究者を招聘し、中国土器出現期と縄文草創期との比較検討によって、改めてその共通性と差異を討議し、農耕と直接には関連しない土器出現の歴史的意義について理解を深めた。
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