研究分担者 |
シャフクーノフ E.V. ロシア国立極東大学, 考古学民族学講座, 教授
とう 聡 香港中文大学, 中国研究所, 助教授
袁 靖 中国社会科学院, 考古研究所, 助教授
藤本 強 新潟大学, 人文学部, 教授 (60011293)
田中 琢 奈良国立文化財研究所, 所長 (40099958)
YUAN Jing Achaeological Institute of China Social Science Academy, Associate Professor
TANG Chug The Chinese University of Hong Kong, Institute of Chinese Studies, Associate Pro
E.V Shakuvnov Russia National Far-east University, Archaeology and Ethnology, Professor
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研究概要 |
東アジアにおける土器の起源について、日本人研究者の派遣と外国人研究者の招聘とを行って相互交流を図り、研究状況の把握と基礎的資料の収集とに努め、以下の成果を得て、その契機の多様性と多角的な評価の必要性を理解した。 1,ロシア極東地区において、従来旧石器時代終末期に位置付けられていた尖頭器を伴う細石刃石器群のオシポフカ石器文化に無文土器が伴っていることが判明した。特にハバロフスク市ゴンチャルカ遺跡に関しては、入手した木炭片の炭素14年代測定を行い、確実に1万年を越えることを確認した。 2,中国華北地区において、細石刃石器群に伴って西日本縄文草創期に類似する爪形文土器が出土していることが、研究分担者〓聡(香港中文大学)によって紹介された。河北省虎頭梁遺群跡出土の複数の土器片について、熱ルミネッセンス測定を行い、いずれも1万年を越えることが明らかになった。 3,中国華南地区において、細石刃石器群に伴って土器が発見されると報告されていた江西省仙人洞遺跡や吊通環遺跡の資料を実見し、湖南省玉蟾岩遺跡、広西壮族自治区白蓮洞遺跡、鯉魚嘴遺跡、廟岩遺跡、甑皮岩遺跡の資料を含め、供出する石器群がいずれも楔形石器を主体とする不定形剥片石器群であることが明らかになった。また、華南の出現期土器は大粒砂利を多く含む胎土で厚い器体という特徴で共通するが、日本の縄文草創期土器と比較した場合、著しく相違することが明らかになった。ただ土器の製作技術に関しては、中国で提唱されている「泥片貼塑法」には疑問があり、むしろ縄文草創期土器との類似が指摘された。 4,後期旧石器〜新石器初頭の礫器・不定形剥片石器群が、中国華南地区と日本の南西諸島・南九州とで類似する可能性を指摘すると同時に、ヴェトナムのソム・チャイ遺跡出土の石器群を実見して、従来関連の示唆されていたホアビン文化とは、別系統の石器群であることを明らかにした。
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