研究課題
日米の青年の共通性と相違を浮き彫りにする鍵概念の検討と、本研究で用いる最終的測度の開発が平成7年度の課題であった。具体的には、以下の研究が実施された。1.日本人が考える"望ましい"人間像と米国のそれを比較する資料として、「よいおとな」「よい子ども」「よい父親」「よい母親」について、幼児の母親・中学生・大学生・一般のおとなを対象に、個別面接・グループ討論・自由記述によって、データを収集した。2.日本と米国それぞれの「望ましい人間像」概念を提出しあい、その共通性と相違について日米の研究者が意見の交換・討議を行った。会議の結果、日米では「自立」に対する考え方がかなり異なることが明らかになった。3.青年の自己像を測定する測度を開発するために、予備調査を中学生と大学生を対象に実施した。自己像を測定する尺度として、従来米国で広く使用されてきたHarterのSelf-perception profileを予備調査で用いたが、それでは日本の青年の自己像を充分にとらえきれないことが明らかになった。そこで、日本の青年の自己像をとらえるためには、日本的特徴をよく反映するような新たな領域を加えて測度を構成することが適切であると結論された。