研究課題
国際学術研究
学習に困難を示す児童・生徒の診断・判定、指導方法、特殊教育制度ならびに教育工学的援助の方法について、アメリカ合衆国、オーストラリア、カナダおよびニュージーランドの研究者と研究協議をするとともに、日本と関係諸国の教育現場を相互に視察した。日本では、学習障害児等の研究は進められているが、未だ公的な教育施策の確立には至っていない。学習障害(以下LDする)については、北米では、その障害カテゴリーが制度上存在し、オーストラリアとニュージーランドでは、この分類を設けず、Special Educational Needsという視点で教育的援助を行っていた。アメリカ合衆国では、6歳から17歳までの児童生徒のうち、多い州では9.19%、少ない州では2.88%の児童生徒がLD児として教育的支援を受けている。診断・評価においても、教育方法と関係するアセスメントを行い、個別教育計画を立てるなどの配慮がなされていた。教育の現場では、従来の指導方法を子供の認知スタイルにあった教授方法に変更・改変されていた。教育工学の分野では、教師が相互的に教育支援のネットワークを組むために、インターネットやLANが組み込まれている個別教育計画向けのソフトが使用されていた。北米では他の障害児童については、インテグレーションあるいはインクルージョンが実施されているが、LDについては私立や公立の特殊学校も設置されていた。Special Educational Needsに基づいた教育という立場をとるニュージーランドでは、障害の分類化の代わりにニーズを分類化し、子供の周りにあるリソースとのマトリックスを組み、適切で効率の良い教育的支援をめざす仕組みができつつあった。本研究の成果を関係機関に配布できるよう報告書を作成した。
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