研究課題/領域番号 |
07044021
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山岸 俊男 北海道大学, 文学部, 教授 (80158089)
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研究分担者 |
KOLLOCK Pete カリフォルニア大学, ロスアンジェルス校・社会学部, 助教授
山岸 みどり 大阪国際大学, 経営情報学部, 教授 (20211625)
亀田 達也 北海道大学, 文学部, 助教授 (20214554)
COOK Karen S デューク大学, 社会学部, 教授
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キーワード | 信頼 / コミットメント / 社会的不確実性 / 内集団ひいき / 機会費用 / 取引費用 / 集団主義 / 社会的ジレンマ |
研究概要 |
平成7年度の目標は、これまでの準備作業の結果を検討する中で新たな理論発展をめざすと同時に、日米比較実験研究のための準備作業を進めることにあった。この2つの目標は、7年度の研究により十分に達成された。まず、これまでの研究および新たに実施された実験研究の結果、他者一般に対する信頼感の高い人間すなわち高信頼者が、低信頼者に比べ、(1)信頼が必要とされる状況で対象の行動をより正確に予測でき、また、(2)与えられた手がかり情報により敏感に反応し、対象の行動予測をより急速に変化させることが明らかとなった。これらの知見を検討する中で、他者の信頼性についての情報処理に対して認知資源を投資することの副次的結果として信頼の発達を考える「信頼発達の投資モデル」が提案された。このモデルの概要は以下の通りである。機会コストが高い社会では新しい相手とのつき合いないし取り引きを行うことで高い利益をえるストラテジーが成功するためには、相手の人間性を評価するための情報処理に認知資源を投資すると同時に、そのような能力の向上を図るためのスキル獲得のためにも認知資源を投資する必要がある。このような投資を行う人間は、与えられた情報に敏感に反応するだけではなく、実際に相手の信頼性の程度をより正確に判断できるようになるため、相手の人間性のデフォルト予測値=他者一般に対する一般的信頼は高く保つことができる(いざという時には判断を急速に修正できるため)。これに対してこのような投資を行っていない人間は急速な判断の修正が困難であり、したがって騙されてひどい目に遭わないためには、他者一般に対する信頼をはじめから低く押さえておく必要がある。第2の目標である、日米比較実験研究のための準備作業は順調に進行しており、ワシントン大学(予備実験完了)とインディアナ大学で準備作業がほぼ完了し、カリフォルニア大学デューク大学で準備作業が進行中である。
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