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1997 年度 実績報告書

信頼のマイクロ・マクロ研究

研究課題

研究課題/領域番号 07044021
研究機関北海道大学

研究代表者

山岸 俊男  北海道大学, 文学部, 教授 (80158089)

研究分担者 KOLLOCK Pete  カリフォルニア大学, ロスアンジェルス校・社会学部, 準教授
COOK Karen.S  デューク大学, 社会学部, 教授
LEVI Margare  ワシントン大学, 政治学部, 教授
山岸 みどり  大阪国際大学, 経営情報学部, 教授 (20211625)
亀田 達也  北海道大学, 文学部, 助教授 (20214554)
キーワード信頼 / コミットメント / 社会的不確実性 / 内集団ひいき / 機会費用 / 取引費用 / 集団主義 / 社会的ジレンマ
研究概要

平成9年度は、研究の最終年度として、これまでの研究成果のとりまとめと理論の整理を中心とした研究を行った。その成果は東京大学出版会より出版される、山岸俊男『信頼の構造ーこころと社会の進化ゲーム』に詳しく展開されているが、ここではその概要を極めて簡略な形で紹介する。平成9年度に実施された実験結果を含め、これまでに本研究の一環として実施された実験の結果は、一般的信頼が他者の人間性の認知の正確さと関連していることを示しているが、9年度に実施された実験結果は、人間関係の認知の正確さが人間性の認知の正確さとは独立に存在していることを示唆している。これらの結果は、人間関係の性質を認知するための社会的知性と、他者の人間性を認知するための社会的知性が独立に存在しており、社会全般におけるコミットメント関係の維持に要する機会費用の大きさに応じて、いずれの種類の社会的知性が発達しやすいかが異なってくる可能性を示すものであると解釈される。機会費用の大きな社会環境のもとでは、人間性認知用の社会的知性の形成に対する認知資源の投資が起こり、その結果他者一般の信頼性のデフォルト期待値を高く保つことが可能となるため、一般的信頼のレベルが高くなる。これに対して、機会費用の小さな社会環境のもとでは他者の人間性の認知よりもむしろ人間関係の性質の認知能力の発達に対する投資が行われるものと考えられる。これらの研究結果はこれまで10を越える国際会議で発表されており、その結果、現在、アメリカとヨーロッパのみでなく、アジア各国においても追試実験が計画されるようになった。今後は、これら各国の研究者による追試実験の成果を取り入れ、より広い文脈で社会的知性と信頼との関係を明らかにすることが可能となるであろう。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 神 伸人: "社会的ジレンマにおける集団協力ヒューリスティクスの効果" 社会心理学研究. 12(3). 190-198 (1997)

  • [文献書誌] 山岸 俊男: "信頼の構造-こころと社会の進化ゲーム" 東京大学出版会, 230 (1998)

  • [文献書誌] 山岸 俊男: "「心と社会の均衡としての文化-関係の固定性と内集団ひいき-」柏木恵子、北山忍、東洋(編)『文化心理学-理論と実証-』" 東京大学出版会, 22 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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