研究分担者 |
MAILATH Geor ペンシルヴァニア大学, 経済学部, 準教授
POSTLEWAITE アンドリュー ペンシルヴァニア大学, 経済学部, 教授
金子 守 筑波大学, 社会工学系, 教授 (40114061)
神取 道宏 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10242132)
松井 彰彦 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (30272165)
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研究概要 |
本年度もさまざまな方向で研究の進展が見られた。これら膨大な成果を一口でまとめることは不可能であるが、重要と思われる一点のみを挙げておく。規範の問題を考えることによって、自由競争という新古典派経済学では中心をなす市場行動も、あくまでもいくつもある規範の中の1つのものにすぎないと考えることができるようになった。経済学は経済から遊離しては存在し得ない。自由競争という概念が市場経済の理念型と看做されるのは、自然淘汰を旨とするアメリカ型市場経済の規範が理論の核に据えられた結果であるということが明らかになったのである。この点を主流派経済学が認識し始めたことによって社会の理解は大幅に深まると言えよう。 上記の点に鑑みた当プロジェクトの最大の成果は、当該分野が広く世界的に認知され、新しい研究領域として確立し、そのことにわれわれのグループが大きく寄与したことであろう。その事実はわれわれがこれまでに出版した論文に端的に表れている。90年代の初めにはまだ、社会学の分野だと思われていた規範、そして生物学の分野だと思われていた進化論がゲーム理論の新しい手法によって統一され、新しい光が当たることに成功したと言っても過言ではない。実際、神取、松井らは国内のみでなく、海外のコンファレンスの招待講演で、これらの話題に関する講演を行っている。もちろん、海外の研究分担者、協力者であるPostlewaite,Binmore,Schmeidler,Morris,Malathらも招待講演や、学会誌への紹介記事等を通じて当該分野の一層の発展を後押ししている。このグループによる共同作業のしめくくりとして開かれた1997年5月のコンファレンスでは、われわれのメンバーだけでなく、日本各地のメンバーを交えて活発な討論がなされた。当該分野の今後のさらなる発展が期待されよう。
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