研究分担者 |
MAURIN Pierr リヨンI大学, 助手
HAZEMANN Jea CNRSグルノーブル大学, 研究員
GEAYMOND Oli CNRSグルノーブル大学, 技術研究員
RAOUX Denis CNRSグルノーブル大学, 研究教授
ARGOUD Roger CNRSグルノーブル大学, 技術研究員
SOLDO Yvonne CNRSグルノーブル大学, 研究員
JAL JeanーFra CNRSリヨンI大学, 主席研究員
JOSETTE Dupu CNRSリヨンI大学, 研究教授
坂口 佳史 日本学術振興会, 特別研究員
河村 純一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (50142683)
加美山 隆 北海道大学, 工学部, 助教授 (50233961)
乾 雅祝 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40213136)
田村 剛三郎 広島大学, 総合科学部, 教授 (30155262)
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研究概要 |
本国際共同研究の実績の概要は以下にまとめられる。 1)代表的な液体半導体として知られている液体セレンは、液体・気体臨界点(1615℃,385bar)を超えて大きく体積膨張するとき,半導体から金属への転移がおこる。広島大学グループ(田村他)は、この半導体-金属転移の機構を解明する上で必要不可欠な、原子配列の変化を調べるために、超臨界領域にわたる広い温度圧力範囲でエネルギー分散型X線回折、X線小角散乱、XAFS測定を行なってきた。本研究で特筆すべき点は、フランスのグルノ-ブルにある大型放射光施設ESRFの強力なX線を利用し、フランス人研究者と共同で、超臨界流体セレンのXAFSならびX線回折測定を世界で初めて成功させたことである。その結果、金属的な領域においても依然として二配位構造が残っており、しかも、半導体-金属転移に際してボンドの長さがむしろ短くなることが判明した。この実験結果をもとに、平面ジグザグ構造をもつ分子が金属化に重要な役割を担っているというモデルを提案した。 2)塩化リチウムの濃厚水溶液は粘性が高く、新しいタイプのイオン性ガラスを容易に形成する。この系のイオン、分子の動的性質を明らかにするため、北海道大学グループ(中村他)はフランス側研究者とともに、中性子準弾性散乱NMR(緩和、拡散係数)の測定を共同で行った。とくに北海道大学におけるNMR測定では、過冷却電解質溶液中の水分子の拡散係数を初めて測定し、その温度変化が中性子散乱の結果とほぼ一致することを見い出した。またプロトンの緩和時間を広い温度領域で測定し、ミュオンを用いたフランス側の実験との比較検討を行った。 3)日仏共同研究者の相互訪問により、従来の課題の実施に加えて、高温高圧NMR(北大)、高温高圧XRD(広島大)による液体半導体、金属-非金属溶液に対する新たな研究を展開する足掛りを作った。とくに広島大学におけるフランス側研究者の高圧測定技術の研修、およびフランスにおける日本側研究者のXAFS、中性子散乱実験への参加は今後の両国の研究グループの発展に多いに資するものである。
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