研究課題
平成6年度に達成された飛行時間測定器開発の成果をふまえ、飛行時間測定器の量産を開始した。飛行時間測定器5パネルの製作を完了し、CERNに搬入した。設置のための架台についても筑波で作成し納入した。7月より西村助手と大学院生2名がCERNに常駐し、設置作業を進めた。8月にはCERNのパイ中間子ビームを用いて実験の読み出しトリガー回路の調整作業及びテストを行った。より低横運動量のファイ中間子測定のための飛跡検出器の製作も共同で進めている。11〜12月の鉛ビームを用いた実験において予備測定を行い、飛行時間測定の時間分解能として120ピコ秒を得ることができた。飛跡検出器、飛行時間測定器のバックグラウンドや粒子検出効率の試験だけでなく、パイ中間子、K-中間子の予備的データの収集を行うことができた。中心ラピディティ領域の低横運動領域について、1粒子包括測定を行い、衝突で達成された温度や化学平衡の有無等の基礎的データを収集することができた。現在データ解析を進めている。読み出し回路については以前より、コロンビア大学(ネヴィス研)との協力によって進めている。高時間分解能飛行時間測定器に最も適した回路となっている。この読み出し回路のため、コロンビア大学では専用のICの開発から行った。読み出し回路の制御プログラムは筑波大学が担当し、そのために大学院生1名と栗田講師がニューヨークに駐在して進めている。2月には読み出し回路の最終試験を高エネルギー物理学研究所において行い、80ピコ秒以下の時間分解能が得られることを確認した。
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