研究課題
本科研費により、CERN(欧州共同原子核研究機構)に長期滞在して進めてきた最終測定を平成8年11〜12月に当初計画通りに無事に終了した。高時間分解能飛行時間測定器について目標としていた時間分解能90ピコ秒以下という時間分解能が得られていることが、最終データ上でも確認され、その性能を充分に発揮することができた。データ解析を順調に進めており、多重飛跡解析、粒子識別も順調に進んでいる。平成7年度に収集したデータの解析から、すでに、従来信じられてきた以上の流体力学的効果が観測されており、平成8年秋の日本物理学会に於ける報告においても、多くの研究者がこの問題に多大な興味を示した。本年度の測定データでは、さらにこの効果の解析を進め、1粒子包括測定のみならず、2粒子相関測定においても、流体力学的効果を示唆する結果が出つつある。これらの解析結果について、早速、3月にインドで開かれる国際会議で本研究グループの西村俊二氏が招待講演を行う。これらの流体力学的解析から状態方程式に関する知見が得られれば、そのビームエネルギー依存性等から、鉛・鉛衝突におけるJ/Ψ抑制効果の異常から提唱されているクォークグルオンプラズマ生成の問題についても重要な結果が得られよう。今後のデータ解析が待たれる。本研究分野の最も権威ある国際会議である高エネルギー原子核原子核衝突国際会議「クォーク物質」を平成9年の12月に筑波大学にて開催されることとなった。今までは米国と欧州のみで開催されてきたが、第13回会議の今回初めて日本で開かれることとなった。本研究班の八木とコロンビア大の永宮が組織委員長、本研究班の初田と本研究班代表の三明が事務局を務める。本研究など、日本の研究者の研究活動が国際的に広く認識された結果であろう。本研究成果発表の重要な場として捉えている。
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