研究課題/領域番号 |
07044073
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宗像 一起 信州大学, 理学部, 助教授 (40221618)
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研究分担者 |
藤井 善次郎 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (10022724)
加藤 千尋 信州大学, 理学部, 助手 (50252060)
安江 新一 信州大学, 理学部, 講師 (80020668)
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キーワード | 恒星時日変化 / 南北非対称性 / 両半球観測 / 宇宙線南北流 / 反恒星時日変化 / フォーブシュ減少 |
研究概要 |
延べ7名の研究者を2回に分けてオーストラリア・タスマニア州に派遣し、ホバ-トとライアポ-タの各宇宙線計に対して年度内に予定された改良をすべて実現することができた。特にホバ-ト宇宙線計にパソコンを用いた自動計測システムを導入し、公衆電話回線を通じて信州大学からも随時観測データを収集出来るようになった。これら観測システムは、現在すべて順調に稼働している。 一方、これらの改良の結果観測データの質が著しく向上し、観測データの解析から以下の新しい知見が得られた。 (1)ライアポ-タの鉛直計で松代での観測値より振幅が1.5倍大きな恒星時日変化が観測されており、南北非対称性の存在が確認された。 (2)ライアポ-タでの多方向観測結果は、松代で観測された振幅の緯度依存性を単純に南半球まで外挿した結果とは食い違っており、振幅がエネルギーとともに増加するエネルギー依存性の存在を示唆している。 (3)地表宇宙線計による両半球観測(ホバ-ト・名古屋)の結果、1992-1993の2年間に低エネルギー領域(150GeV以下)において、恒星時日変化が卓越しており、太陽磁区構造に依存しない宇宙線南北流の存在が示唆された。 (4)ホバ-ト・名古屋における観測の結果、南北反対称な反恒星時日変化の存在が南北両半球観測によって初めて確認された。 (5)1992年9月にフォーブッシュ減少に先立つ前兆的な宇宙線強度変動が初めて両半球観測によって観測され、惑星間空間の擾乱領域周辺の宇宙線流の3次元的描像が得られた。 以上の成果は1部すでに学術誌に投稿あるいは出版され、また1部は「第24回宇宙線国際会議」(ローマ)でも発表されて国際的にも高い評価を受けている。これらの成果を足がかりとして、次年度には本研究の更なる発展が期待できるものと確信している。
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