研究分担者 |
王 正徳 清華大学, 材料系, 助教授
BONNAMY Syiv 微粒子研究所, 主任研究員
KOTOSONOV Al 国立グラファイト研究所, 教授
竹市 力 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (90126938)
菱山 幸宥 武蔵工業大学, 自然科学系, 教授 (90061499)
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研究概要 |
1)構造の設計と評価 高結晶性・高配向性グラファイトフィルムを作製するためのプリカーサーとして,ポリアミック酸メチルエステルを合成し,それをイミド化,炭素化,黒鉛化した.生成したフィルムは,メチルエステル化していないポリアミック酸から同様に作製したフィルムよりも高い黒鉛結晶性を示すことが,X線回折,磁気抵抗測定から明らかとなった.高結晶性・高配向性グラファイトフィルムの作製に対して,イミド部分と架橋部分の組み合わせの選択のみでなく,メチルエステル化も効果を持つことが明らかとなり,プリ-カーサーの選択幅がさらに拡張された. 2)機能の制御と評価 ポリイミドフィルム(カプトン)から作製されたフィルムの電気伝導度,磁気抵抗,ホール係数などの電磁気物性を,処理温度の関数として詳細に検討した.その結果,これらの物性が2300℃付近で飛躍的に変化し,それより高温での加熱処理によって急激に黒鉛となることを見出した.そして,その飛躍的な変化がフィルム中からの残存窒素原子の脱離に起因すること,その窒素原子は炭素六角網平面内に置換固溶して網平面に大きな歪みを与えていることを明らかにした. 3)機能の拡張 ボロンのド-ピングを,1)グラファイトフィルムを炭化ボロン中で高温に加熱すること,および2)プリカーサーの段階で有機ボロン化合物を混入し,炭素化する,2つの方法によって試みた.後者の方法では,添加ボロンが炭素化の段階でポリイミド中に存在した窒素と反応し,その状態を大きく変えることが明らかとなった.この結果は,炭素を置換固溶したボロンがアクセプターとして働き,生成グラファイトフィルムの物性を変えるのみでなく,ボロンの添加がポリイミドの炭素化過程を変える可能性を示唆している.
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