研究概要 |
1.四端子デバイスを用いた高機能LSIの研究 四端子デバイスであるニューロンMOSトランジスタ(vMOS)を用いて,やわらかい論理回路,連想回路等を構成し,高度な判断を実行する知能電子システムのハードウェアを実験試作により検証した。vMOS論理回路に関しては,新しいクロック制御vMOS回路形式を開発した。vMOSのフローティングゲートにクロック制御のスイッチを付加することにより、デバイス動作中のホットキャリア注入等によるしきい値変動をリセットすると共に,デバイスが元々持っているしきい値のばらつきをもキャンセルできるため,信頼性と演算精度が飛躍的に向上した。連想回路に関しては,vMOSウィナーテ-クオール回路を応用し,動画の動きベクトルを高速に検出する回路を開発した,3μmルールで設計・試作し,動作を確認した。また,シミュレーションにより,300nsという高速で動きベクトル検出が可能であることが分かった。また,画像上の物体の重心を求める回路も,vMOSを用いて開発し,試作により動作を確認した。これらの技術は,画像情報における知的認識システム実現に向けての重要な基礎となるものである。 2.ギガスケール集積化の限界解析 ギガスケールの集積化のためには,各要素回路が極低消費電力で動作することが必須である。したがって,低消費電力回路技術に関して研究を行った。vMOS回路に関しては,しきい演算時に全く直流消費電力を消費しない新しい回路形式を開発した。これは,DRAM等で用いられているセンスアンプ技術を応用したもので,vMOS論理回路の低消費電力化が実現できた。
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