研究分担者 |
DEWEY Jr. C. マサチューセッツ工科大学, 機械工学科, 教授
HELLUMS J.Da ライス大学, 化学工学科, 教授
GIRARD Peggy ジョージア工科大学, 生物学科, 講師
NEREM Robert ジョージア工科大学, 機械工学科, 教授
大橋 俊朗 東北大学, 工学部, 助手 (30270812)
片岡 則之 東北大学, 工学部, 助手 (20250681)
松本 健郎 東北大学, 工学部, 助教授 (30209639)
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研究概要 |
本年度は主として以下の3点について研究を行った. 1.一方向,および30分間隔で対向的,直交的に流れの方向を変化させた流れを培養内皮細胞に24時間負荷した後,細胞内のF-アクチンフィラメントの分布を画像処理を用いて統計的に解析したところ,どの条件下でも,流れの上流側にF-アクチンフィラメントが多く分布することが確かめられた.また,せん断応力負荷の初期段階で出現するストレスファイバーを詳細に観察した結果,ストレスファイバーは細胞の長軸に沿って現れ,その後,時間を経るごとに内皮細胞は伸長,配向してゆくが,同時にストレスファイバーも流れの方向に配向していくことが観察され,内皮細胞のせん断応力の方向の感知には,ストレスファイバーが重要な役割を担っていることが示唆された. 2.従来より,内皮細胞の物質透過性については動物を用いたin vivoの実験と培養細胞を用いた実験では異なる結果が報告されてきた.そこで,摘出した血管にせん断応力を負荷する装置を考案し,新たな実験系の確立を図った.ウサギより摘出した胸部大動脈を軸方向に沿って切り開き,平行平板型フローチャンバに設置して,血流方向と垂直な方向に1Paのせん断応力を負荷した.せん断応力負荷72時間後には,多くの内皮細胞は新たな流れの方向に配向を始めていた.この実験系の確立によって,さらに多くの新たな知見が得られることが期待される. 3.動物および培養細胞を用いた実験とは別途,コンピュータシミュレーションによる解析も行った.ランダムに配向した内皮細胞にせん断応力を負荷し,内皮細胞は細胞が受けるせん断応力をより小さくするように配向を変化させるという前提のもとに計算を行ったところ,培養内皮細胞を用いた実験と同様な結果が得られた.内皮細胞の詳細な力学モデルの構築によって,内皮細胞の力学的刺激感知機構の解明に有用な情報が得られると考えられる.
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