生体医療光学に於ける高機能伝送システム

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07044113
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 宮城 光信 東北大学, 工学部, 教授 (90006263)
• 研究分担者: ホール D.R. ヘリオット, ワット大学・物理学科, 教授 ; ハリングトン J.A. ラトガース大学, セラミックス工学科, 教授 ; カッツィール A. テルアビブ大学, 工学部, 教授 ; クロイトル N. テルアビブ大学, 工学部, 教授 ; 本郷 晃史 日立電線(株), アドバンスリサーチセンター, 研究リーダー ; 加藤 祐次 北海道大学, 工学部, 助手 (50261582) ; 原 啓明 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (60005296) ; 馬場 一隆 東北大学, 工学部, 助教授 (10192709)
• キーワード: 赤外中空導波路 / 誘電体内装導波路 / 生体医療光学 / レーザー / 最小侵襲医療

研究概要

人体に大きな負担をかけずに、患部の診断・治療を行ったり、あるいは人に苦痛を与えずに治療を行うという、最小侵襲医療は21世紀に於ける医学の重要な分野であるが、生体医療光学はそれらを基本的に与える手法である。本研究では、任意の波長をもつレーザー光を自由に所望のターゲットに導くための高機能伝送システムに於いては、中空導波路が最も適しているという観点に立ち国際共同研究を行なった。本年度に行なった研究ならびに得られた成果は以下の通りである。
1.国際研究集会の開催
生体医療光学ヨーロッパ'95を平成7年9月にスペインのバルセロナ市、生体医療ファイバ光学とレーザーシステムを平成8年2月に米国のサンノゼ市に於いて、共同研究者と共に開催した。光学者で医学に関わる研究者が多数この会議に集まった。国外の共同研究者が一堂に会することができ、高機能伝送システムに関わる問題のサーベイ、ならびに今後の国際研究集会開催の方針についても討論を行なった。
2.誘電体内装中空導波路の製作法の研究
医療光学に適する誘電体内装中空導波路の製作について、共同研究者の中で採用している種々の方法について、その得失についての調査を行なった。ガラス中空パイプに銀を堆積しそれをヨウ化し、ヨウ化銀膜を成膜する手法(ラトガ-ス大学方式)、銀を堆積した後、有機薄膜を堆積させる手法(東北大学方式)が今後の重要な方法となり得ることを確認した。なお、東北大学方式は高機能伝送システムを得るのには最適であることも認識されるようになった。
3.高機能伝送システムの構築
歯科治療に於いて、その無痛治療を達成する為に波長2.94μmのエルビウム・ヤグレーザー光を伝送する為のシステムを構築することに基本的には成功し、内径700μm径の中空導波路で0.3dB/m以下の損失をもつ伝送系を実現した。

研究成果

• [文献書誌] Y.Kato: "Loss characteristics of polyimide-coated silver hollow glass waveguides for the infrared" Electron. Lett.31. 31-32 (1995)
• [文献書誌] K.Takatani: "Theoretical and experimental investigations of loss bahivior in the infrared in quartz hollow waveguide" Appl. Opt.34. 4352-4357 (1995)
• [文献書誌] T.Watanabe: "Transmission of 1.6 J Er: YAG laser light by ZnS-coated silver hollow waveguide" Opt. & Laser Technol.27. 389-391 (1995)
• [文献書誌] M.Osawa: "Fabrication of fluorocarbon polymer-coated silver hollow glass waveguides for the infrared by the liquid-phase method" Opt. & Laser Technol.27. 393-396 (1995)
• [文献書誌] M.Saito: "Optical constants of polymer coatings in the infrared" Infrared Physics & Technol.36. 1125-1129 (1995)
• [文献書誌] 宮城光信: "赤外域レーザー用中空導波路の開発" OPTRONICS. 116-120 (1996)