研究課題
平成8年6月に中塚教授が1カ月間ピエール・マリ-キュリー大学(パリ6大学)に滞在し、イオン性磁性流体の磁化特性についての共同研究を行った。次いで、8月20日〜30日には、Bacri教授とShliomis博士が来日し、磁性流体の光学特性及び粘度特性の共同研究を実施し、それまでフランス側で行ってきた研究成果の発表を行った。11月には、神山教授(研究代表者)ほか3名がパリ大学を訪問し、第3回日仏磁性流体セミナーを開催して、研究成果の発表と討議を行った。日本側が主体的な役割を演じた研究成果としては、イオン性磁性流体の低温物性として核磁気共鳴を利用した磁気的性質が調べられ、微粒子の磁気に関する新しい知見が得られた。また、磁性流体の管内流動特性として振動流及び沸騰気液二相流の流動特性が解明された。特に、管内振動流の問題では、磁場の作用下での粒子の凝集モデルを従来の一様分散モデルに対して、磁場の強さに依存する非一様分散モデルを構築し、理論解析することにより実験結果をより説明できることに成功している。さらに、応用研究として、磁性流体アクティブダンパやアクチュエータとしての性能向上に関する基礎研究に見るべき成果が挙げられた。一方、フランス側では、イオン性磁性流体の光学的特性の検討から流体内の微粒子のミクロな振舞いを推定する手法が提案された。また、高周波磁場の作用下でレオロジー特性(Negative viscosity effect)に特異の振舞いの生ずることが実験的に検証された。これらの研究成果をさらに進展させるために新たな研究計画のもと、より密接な連携を取り、共同研究を図る予定である。
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