研究課題
国際学術研究
パリ大学で最初に開発されたイオン性磁性流体は、従来の界面活性剤を使用する磁性流体とは異なり、加熱による界面活性剤の微粒子からの離脱による劣化が生じないため、磁性流体の沸騰現象の解明など特異な現象の解明に適した流体試料であると言える。このイオン性磁性流体の基本特性(特に、磁化及びレオロジー特性)管内流動特性及びその応用面開発の研究を組織的に行うために、本研究が計画された。平成7年4月から平成9年3月までの2年間の研究期間の間に3回の日仏磁性流体セミナーを開催し、研究成果の発表と討議を通して共同研究の進展が図られた。その結果、以下の研究成果が得られた。1.イオン性磁性流体の磁化特性の解明イオン性磁性流体の低温磁化特性が核磁気共鳴装置を用いて検討され、低温下での磁性粒子の磁化の構造の温度依存性が解明された。2.管内流動特性の解明特に、振動流の流動特性に及ぼす磁場の影響が詳細に検討され、粒子の凝集効果により、流動特性が大きく影響を受けることが実験的に確認され、その効果を説明するために粒子の数密度を磁場の強さの関数として考慮する解析モデルが提案され、実験結果をよく説明できることが明らかにされた。3.イオン性磁性流体の光学特性及びレオロジー特性磁場の作用下での光学特性の測定結果から、磁性流体中の粒子の磁化特性や流体のミクロな過度を求める実験手法が提案された。また、高周波磁場の印加により流体の粘度低下(Negative viscosity)が生ずることが実験的に確証された。4.応用研究磁性流体の応用研究としては、ダンパ、アクチュエータ、ヒートパイプ、エネルギー交換システムの開発に関する基礎研究が進められた。なお、新たな構想のもと、共同研究を進展させていくことが両国間で合意された。
すべて その他
すべて 文献書誌 (29件)